「隙 間」

2008年07月27日(日) 「接吻」とドキドキ

「接吻」

 をギンレイにて。
 豊川悦司、小池栄子、仲村トオル主演。
 まったく無関係の一家三人を惨殺した殺人犯をニュースで知った女が、他人とは思えない、と彼の弁護士を通じて差し入れからはじまり、手紙、面会と、やがて心を通わせるようになってゆく。
 女は彼のことすべてを理解し、彼には私が必要であり、私にも彼が必要だと、そして裁判が続くなか、拘置所内の彼と結婚をし、判決後も彼と会えるようにする。
 警察にも弁護士にも、彼は一切、犯行について口を閉ざし、頑なに自分は死刑を受けるべきだと、決意していた。
 女にも犯行に関しては何も話すことはなく、女は彼のそうすることの意味も理由もわかっているつもりだった。

 が……。

 判決が出て、控訴の同意を求める弁護士に最後の最後で認めてしまう。
 控訴など有り得ないはずだと彼のことを理解していたつもりだった女は、彼との間仕切り無しでの面会を許されたその日に、ある決意をもって面会に向かう。
 もうすぐ彼の誕生日ということで生クリームたっぷりのイチゴのケーキに火をつけ、ハッピー・バースデーを歌い、さあ吹き消して、と。

 そして……。

 ……。

 何かのインタビューで、監督が「理不尽さを感じてもらえたら」と答えていた。
 つまり、作品に共感や理解を求めたりしない、ということ。

 なんで女が犯人に共感し、一途にのめり込んでしまったのか。
 なんで彼は殺人を犯したのか。
 なんでこの展開を辿っていったのか。

 無差別殺人(通り魔)事件が相次いでいる昨今、「他人事とは思えない」という、犯人側の境界に近寄っている言葉が耳にされていた。

 すべてのことにおいて、あちらとこちらの境界線は、常にすぐ足元にある。

 折れてしまいそうなとき、なにくそと立ち上がるか、折れるままに地に臥してしまうか。

 衝動に駆られたとき、一線を超えるために踏み出す力を出すか、踏みとどまるためにこらえる力を込めるか。

 どちらの力も、わたしは最近使った覚えがないかもしれません。
 使わないですむような、そんなこざかしいところへよけていっているのでしょう。

 もうじき、そんなこざかしいことができないところへゆかねばなりません。

 さあ、追い込みます。
 境界線のギリギリのところで、堕ちてゆくか、しぶとくそれでも飛び続けるか……。

 人生、ドキドキです(汗)


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