「隙 間」

2008年08月28日(木) 「海と毒薬」と毒と独白

 遠藤周作著「海と毒薬」

「うわぁ、ちゃ、ちゃ、ちゃ……。読んじゃったの?」

 ドクが顔をしかめる姿が思い浮かびます(汗)

 以前、

「なにか濃ゆくて重ったるぅい作品ありませんか?」

 と、ドクに訊いてみたときに、

「こんなのあるけど、お薦めはしないなぁ」

 と言っていた作品でした。

 ……頷けます。

 戦時中に行われた、米軍捕虜の生体解剖、の物語です。
史実です。
 裁判にもなってます。
 関係者に対する批判というつもりで書かれたものではない、そうです。

 グロくは書かれてません。
 なにせ主題は別ですから。

 縛りつけ、そして同時に自由を与える存在としての、都合のよい「神」という宗教的な存在のない日本人の、倫理的思考の葛藤。

「神」によって悪とされることをしてしまったら、「神」によって罰せられる。

 日本人て、たぶんそんなんと違うよね?

「悪いこと」は、皆が悪いと感じること思うこと、それをしたら皆から罰せられる。

 に近い感覚……じゃないかしらん?

 赤信号、みんなで渡れば怖くない。

「悪いこと」と「罰せられること」は、微妙に違うところがあるけれど。

 生体解剖に助手として携わった医学生が、

「怖いのは、殺したことなんかじゃない。殺したことに、何にも感じないことだ……」

 彼は呵責を求める。
 だけれども、それを「悪」と認識するものがないなかに、彼を責め苛ませるものなどあるはずがなかった。

 戦争とは、相手を殺すこと。

 そこには、ありとあらゆる、

「正義」と
「悪」と
「罪」と
「罰」と

「夢」と
「理想」と
「現実」が、

 ある。

 ひとつの存在がすべてを定め、それにただ疑いも選びもせず従うだけなら、なんて簡単で、楽で、幸せで、固くて脆くて、わたしはきっと、そのうち胃の辺りがムズムズしてきて、カァーッ、ペッ、としたくなることだろう……。

 あれもこれもそれもどれも、ぜんぶひっくるめて、そのなかから自分で選んで、つまずいて、転んで、痛い目に会って、怪我をして、誰かに傷の手当てなんかされちゃったりなんかしちゃったりして、起き上がってまたすぐ、つまずいてコケちゃったりなんかして……を繰り返してゆきたいじゃん?

 今は流されるがままを選んでて説得力ないけれど(汗)

 せめていつか、誰かに何かを言うときに、知らぬ誰かのではなく、「自分」の言葉として、言いたい。

 ……いつ、誰に、かはわからんけど(汗)


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