| 2008年08月30日(土) |
世界を書くことと「だりや荘」 |
芝大門のドクのとこに行きました。 わたしの「海と毒薬」を読んじゃいました、という話に、
「なんか気持ち悪かったでしょ」
わたしの「気持ち悪かった」の意味をわかっているのか、
「宗教とか信仰の世界を持ち込んだって、わかんないんだって」
そう、そうなんです。 その世界観を自分の主観として感応できるものなのかどうか、なんですよねぇ。
「そう「蛇とピアス」だって、女性の肉体を傷つける痛みと性感応を重ね合わせてみたって、男にはそんなのわからないよ」
そういうところ、だったんすねぇ、てか、読んだんすか、「蛇とピアス」?
「男は谷崎の「刺青」のほうが理解できるよ」
わかります。そうですよねぇ。 谷崎はさすがですよねぇ。
その世界のひとにしかわからない価値観や世界観を表層的なことで訴えるんじゃなくて、深層は深層のまま、表層のホントの水面の上澄みだけでその水面下は行間で表すというか、そんな感じの……わかります?
「わかる。わかるよ、言いたいこと」
とまあ、そんなところでいつもは話が終わるのだけれど。 なんだかまだ何かを話したそうにしてます。机に身を乗り出してわたしの話が終わってもそのままの姿勢……汗
えーと。 何かありましたっけ?
「こないだ映画観に行ったんだよ」
あれまあ、なんて嬉しそうなお顔だこと(笑) で、何を観たんです?
「「落語女」をね、まあぁあれは……」
原作も読んだそうですが、落語の世界をわからずに書いていて、薄っぺらい、だけど、物語の進め方とかは、
「すごくうまい」
だそうです。
とりあげている噺にリアリティがないらしく、辞書辞典インターネットで集めただけの知識で書いたようにしか思えないそうです。
この噺はこの噺家だからこそ活きる、ということをわかっていないで、ただ噺の内容だとか表面的なものだけで選んでいるようにしかみえない。
ということです。
……落語は、生で聞いて観てナンボ、ですね(汗)
そして……。
井上荒野著「だりや荘」
次の荒野作品は、ちょいと時間をおいてからと思っていたのだけれど……。
目が合って、離れてくれませんでした(汗)
妹夫婦と姉の、三つ巴の互いにそうとわかった上での嘘を受け止め、そして流してゆき続ける。
姉と夫の関係を知りつつ、知らぬふりをする妹。 知られていることを知っている姉。 姉と自分の関係を妻が知っていることを知っている夫。
三人はすべてを胸の内に秘め、あえてなにごともなく穏やかな日常を送り続ける。
ひとつペンション「だりや荘」のオーナーとして……。
小川洋子さんの世界と似ているかもしれない……。 もう少し違うけれど。
嫌いじゃあない、です。
素直じゃないねぇ(笑)
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