北島行徳著「バケツ」
知的障害を抱え、家族からもすてられた少年「バケツ」。 神経性下痢で、ストレスから路上で脱糞してしまったボディビルが趣味の神島。 養護施設の仕事でふたりは出会い、施設を卒園しなければならなくなったバケツを引き取り、共同生活がはじまる。
「特別な子たちなのだから特別な教育をして、きちんと社会で対応できるように教育してあげなきゃならないんですっ」
悪いことをした、反省しなければならない。
裸の背中を鉄のものさしで叩いて保育士がバケツらを叱る。
「卒園後になんの力も持たない、自力で生活もできない、他人と生活もできない子でもいいんですか。 ダメなことをダメだとわからないのだから、体ででも覚えさせなきゃだめなんです」
神島はバケツを引き取る覚悟を決める。 バケツが自立するまで、と。
おかあさんに、あついおゆ、かけられた。
神島に話した、バケツの母親の思い出。
おおきくなったぼくを、おかあさんに、みてもらいたいのね。
母親はホームレスになった挙げ句、路地裏で行き倒れ、この世を去ってしまう。
てんごく、じごく、どっちがいい♪ なんとかするから、てんごくにして、だから、なんとかして♪
バケツの自作のうた。
おかあさんはてんごくにいるのだから、ぼくもてんごくがいい。
神島には相談もせず勝手にはじめた新聞配達のアルバイト。
まっちょせんせい(神島のこと)にめいわく、かけないようにするのね。
バケツを守っているつもりだったのが、バケツとの生活が生きがいになっていた神島。
寝坊で新聞配達に大遅刻してしまったバケツの手をつかみ、
俺が一緒に行って謝ってやる。 そうすれば、なんとか許してくれるから。
神島に、
おれ、ひとりで、いくよ。
バケツがいう。
花嫁の父親、て気持ちなんですよ。
神島はバケツが自立して出ていってしまうことを不安に思う。
俺とバケツは、血の繋がりも何にもない、家族でも何でもない関係なんです。 出ていったら、きっと、物覚えの悪いバケツのことだから、帰ってきやしませんよ。
神島に、老人が話す。
血ではないけれど、ふたりの間にはたくさんの思い出で繋がっているように思える。 それは何よりも大切なこと。
と。
障害者なのにすごい、じゃない。 障害者だから、すごい。
障害者劇団座長の神島の高校時代の女の先輩。
彼女とバケツと神島、いや、まっちょせんせい。 思い出を、これからも、たくさん……。
予想を、期待を裏切ってくれました……。
いい意味で、です(汗) だって、タイトルが「バケツ」なのだもの。
おれ、ひとりで、いくよ。
俺も、いきます……汗
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