「隙 間」

2011年09月18日(日) 「CARRY THE FIRE」CARRY THE VIRUS

篠原美也子ワンマンライブ
「CARRY THE FIRE」
Shibuya O-WEST

長い夢から覚めた後で――。

ぼんやり見ていた手のひらに残っていたものを、ぎゅっと握り締めてきました。

「愛してる」

まさかこの曲で最後を締めくくるなんて。

わたしは、握り締めた手の親指だけを立てて、トントンと胸を叩きました。



ここに、しっかりと。

――ありがとう。



昼前に、妻子を泣く泣く名古屋に残して単身参戦しにきた我が友AKB……AK「D」と合流し、そして数年振りに参戦することになった英子さんとの待ち合わせに向かいました。

ふたりはおよそ四、五年振りの再会です。
いや、少なく見積もって、ですけれど。

わたしが最初に「おいーっす」とゆくのは、演出がなってない。
待ち合わせは有楽町です。
人混みの向こうで、互いが気付いて、「わあ、久し振り!」

うん。
これで行こう。

と、思いました。
Dは背丈があるので、わたしのように人混みに埋もれてしまうことはあまりありません。

はい。
はっきりとわかる、
「凸凹」コンビです。
普段はまったく気になりませんが。

こちらに気が付きそうになる少し手前で、わたしは英子さんから見てDの背後に隠れる位置を保ちながら、そろそろと近付いてゆきました。

あ、こちらに気が付いた。
英子さんまでは三メートルくらいあったでしょうか、完全にDの背中に「すっぽり」と自分の姿が隠れきってしまうのがわかりました。

……でけぇ。

思惑以上のハマり具合に、Dとの身長差をあらためて気付かされてしまいました。

「ぜったい、蹴ってやる」

某人気刑事ドラマの深津絵里さんの台詞がとてもよく似合う気持ちでした。

蹴る役は、わたしではなくDの奥さまにお任せしようと思います。

それはさておき、すっかり中学時代の思い出話で盛り上がってしまいました。

思い返すと、皆十年来の付き合いの仲間たちのなかで、こうして思い出話ばかりで盛り上がれる機会は、なかなかなくなっていたような気がします。

すでにそこは何度も通り過ぎてきてしまい、またその頃を思い出して話すよい機会がいったいいつなのか、わたしはとっくに見失ってしまっていたのかもしれません。

最近の話も、今の話も、これからの話も、そればかりしようと話題を探したりしてました。

あの頃と今は、お互い立場も状況も、先にあるものも今身近にあるものも、皆、違います。
違うのだから、察しあうことはできても、深く分かち合い共有できるものとはやはり違うのです。

皆が共有しているものとは、皆が一緒に過ごしていた時間での出来事なのです。

思い出話ばかりを重宝しているのではなく、久し振りにそんな単純なことを忘れていたことに気付かせてくれたこの機会に、Dと英子さんの再会の場に居合わせることが出来たことに、感謝します。

そして衝撃の告白をされてショックを受けただろうDに、慰めの言葉を――。

「立派な生徒会長だったのを、他のみんなはちゃんと知っててくれてるからな!」

彼女らしいところです。
愛嬌のひとつです。
数年後、きっとまた、同じ衝撃の告白を繰り返してくれるだろうと思います。

「え? そうだったっけ……」
「この話、何度目だよぉ……」
「ごめんごめん。よし、もう大丈夫( ̄▽ ̄;)V」

そしてその数年後にも、また同じ告白を……お願いします。

ご本人さまからのクレームがございましたら、わたくし、真摯に受け付ける所存でございます。
m(_ _;)m

さて、いよいよ。

篠原美也子さんのライヴです。

room493用語でいう「戦前派」である彼女には気になることがありました。

「戦前派」というのは、篠原美也子がメジャーレコード会社に所属していた頃からのファンを意味します。
対してインディーズになってからのファンを「戦後派」といいます。

英子さんが聴き込んでいた頃までの楽曲を、今回どれだけ聴かせてもらえるんだろう、という不安です。

初めて聴く曲を敬遠しているわけではなく、安心感に対して、です。



長い夢のその後では――。



三人とも、いや、会場内のすべての人が、

夢が覚めてしまった寂しさよりも、
観たその素晴らしき夢の感動を――。

きっと抱き締めていたに違いありません。

三人珈琲を飲みながら余韻に浸り、また思い出の浜から舟を漕ぎ出し、波乗りかき氷、not yet――。

帰りの山手線でぐるりと半周するまでが、三人に残された最後のひとときでした。

Dと英子さんはパドリング、テイクオフ、ジャックナイフ、パイプライン、シザーズ、ドロップ、と波乗り真っ最中です。

しかしわたしは、徐々に押し寄せてくる違う波に、気を奪われてしまっていたのです。

CARRY THE FIRE――。

火をもて、肉を寄越せ。

英子さんを乗せて発車する電車を見送った後、Dと肉の宴です。

英子さんも一緒にできればよかったのですが残念でした。

願わくば――。
この思い届くように。

遠ざかってゆく車窓の英子さんを想像しながら、のつもりが、たちどころに、目の前のお肉の宝石のような輝きに心奪われてしまいました。

ああ。
持つべき友は、旧き友――。

網の上で奪うべくフライングゲットする必要もなく、ちょいちょいとキラキラしたジュエルミートをわたしの皿に分けてくれるD。

僕がキミ(肉)に恋を、恋をしてるのは鉄板――。

幸せです。

我が家に帰り、「篠」繋がりにこじつけて録画してとっておいた番組の上映会です。
かなり深い時間になってしまいましたが、栄のあの素敵な方を紹介でき、気に入ってもらえたようなのでほっとひと安心です。

感染は着実に進めてゆくつもりです。

英子さんが心配して、別れた後にメールをくれました。

「その話ばかりして、Dくんは眠くなっちゃうんじゃない?」

眠くなれば、催眠がかかりやすくなります。
無防備な脳に、刷り込みます。

それは、もってこいな状態なのです。

もとよりハマれば凝り性のDです。

ふっふっふっ――。

さあDよ!
目覚めるのだっ!

そして次は英子さんを……。
(*`◇)<毒毒毒毒*_*;)

☆(゜o´(○=(-_-○

バッサリ返されそうなので、慎重にゆきたいと思います。


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