白日の独白
索引|←|→
母は真っ青な顔をして、飛び込むように家に帰ってきた。 「お兄ちゃんから電話あった?」と半狂乱になっていたけれど、僕にはわからなかった。 テレビに映し出される世界と、どうして兄が関係しようか・・・・と。
夜、兄からの電話。 「大丈夫だよ。だけど変だね。『内側』にいたら、何も情報が入ってこないんだよ」
後に、兄が彼等の『本来の標的』の1人であったことがわかった。 けれど僕にとって『外側』だという想いは変わらなかった。 僕と僕の大切な人は全部『きっと大丈夫』。 それはどこにも根拠の無い確信で、その事は自覚してたつもり。 だけどつもりは所詮『つもり』でしかない。
『内側』に居ても『外側』に居ても、結局は同じ。 『現場』とは決して越えられない差がある。 だからこそ無関心で、だからこそ生きていける。
テレビでは繰り返し繰り返し 道端に蹲る人 地下街から運び出される人の映像
|