眼が合った。そして暫しの沈黙。初めに逸らしたのは君。君は恐ろしいモノを見たようだ。眼を逸らすだけでは足りなくて、母の乳房に逃げ込んだ。怖いモノ見たさ時折視線を上げては直ぐに逃げ出すのに、目を瞑ることは出来ない。母は気付こうともせずに「甘えん坊」と笑っていた。君もそうやって大人になるよ。理解はされなくても、君には逃げ込む場所が『今』はある。けれどそれも直ぐになくなるだろう。だからこそ、その乳房の暖かさを忘れないで。