階下へ垂れ下がる髪。部屋中をのたくり回る髪。天井から自生しているような髪。「ラプンツェル」を前にして背筋がひやりとして皮膚が粟立つ感覚。それは理由なしの生理的嫌悪感。だけど何も髪だけじゃないと想う。例えば僕は左手の親指を眺める。指に張り付いている間は君は僕の一部だけれど剥れたら廃棄物だ。僕はおもむろに、現時点では僕の一部である爪を噛む。