くじら浜
 夢使い







始まりのシーン 「満月の十三祭り」   2002年12月21日(土)

波の音がした。

本堂の後ろのドアがギィィと開くと、
観客は一斉に振り向いた。

真っ暗だった本堂に、開いたドアから光が射した。
その光はステージ正面のやや右上に、
ドアの形の縦長の長方形を作った。

そしてその人がドアから出てきた瞬間、
正面の長方形に、その人の大きな影が映し出された。


ドアから射す光を背に受けて
その人は
ゆっくりとゆっくりと
チヂンを叩きながら
マイクを通さない生の唄声を本堂に響かせながら
ゆっくりとゆっくりと
ステージに歩み寄る。

歩み寄る毎に正面の大きな影は
またゆっくりとゆっくりと
小さくなっていき
ゆっくりとゆっくりと
等身大になってゆく。


やがてステージに到着し
ドアが閉じ
チヂンの音が止み
そして大きな拍手が起きて、

お祭りは始まった。






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