くじら浜
 夢使い







くじらになった少年   2006年09月18日(月)

放たれた日常の刃が
胸を深くふかく抉って
ほとばしる赤は
夕刻西の空に朱と同化するのだろうか

その体温さえも忘れるほどに
その場所は遠いのかい

記憶の渦を
一本いっぽん辿っていって
燃える太陽の下
蝉はなぜあんなにも激しく叫び
向日葵はなぜあんなにも天を求め
夏ななぜそこにある

浮き上がった傷痕を
この陽にさらし
少年はいつもこの砂浜で目を閉じていた

渇いた傷痕は
したたる汗で
潤うのかい

体温は
その微熱で
戻るのかい

満潮
夕暮れ
それでも少年は帰ることはなく
真っ赤に染まった夕焼けと
静かにしずかに沈んでいく太陽を眺めながら

いつまでも
くじらを待っていた





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昨日にひきつづき今日も昔書いた詩です。
いや・・サボっているわけでは・・
5周年記念ということで・・
2つとも思い入れの強い詩です。







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