優しさにつき、あれこれと、考えていたとき。
或る小説の、或るキャラが、思い出されました。
あまりにも、優しくて、 読んでから、日を経ても、 この胸を、痛ませる、 ムイシュキン公爵。
彼は、「白痴」という題の、 長編ものの、主役であり、 自分が「ロシアの鷹通」と、 心ひそかに呼んでいる、 年齢二十六、七の、青年なのですが。
台詞をひとつ、見てみても、 彼が、どんなに純粋な、 心を持った、人物か、 天白虎的な人物か、 見える、気がします。
「どうぞ聞いてください!私もおしゃべりするのがよくないことは知っています。むしろいきなり実例を示したほうがいいのです。…(中略)…私は一本の木のそばを通り過ぎるとき、それを見ることによって、幸福を感じない人の気持がわかりかねます。人と話をしながら、自分はその人を愛しているのだという想いによって、幸福を感じずにいられるでしょうか!ああ、私はただうまく表現することができないのですが……すっかり途方にくれてしまった人でさえ、これはすばらしいなと思うような美しいものが、至るところにころがっているではありませんか。赤ん坊をごらんなさい、神々しい朝焼けの色をごらんなさい、育ちゆく一本の草をごらんなさい、あなたがたを見つめ、あなたがたをいつくしむ眼をごらんなさい……」
「白痴(下)」 pp534-535 ドストエフスキー 木村浩訳
彼の持つ、正義感、 一途さと、優しさが、 天白虎好きな自分には、 ちょっと、たまりません…
そして、ここからこの日記、 「ふじょし」のモードになりますが、 こちらのロシアの天白虎、 レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン公爵は、 実は、実は、実は……
頭がよく、かっこよく、 ちょこっと粗野な、青年に、 やばいだろうと、いうほどに、 執着され、ストーカーされ、愛されていまして。
下の、シーンを読んだとき、 私は思わず目のやり場に、 困ったほどでした…
「足がいうことをきかないんだよ」公爵はつぶやくように言った。「こわいからなんだ、それは自分でもよくわかっている……こわいのがやんだら、立てるさ……」 「じゃ、ちょいと待ってろよ。おれが二人の床をとっちまうから。そして、おまえさんはもう寝るといいや……おれもおまえさんといっしょに寝るからな……それから話を聞こうじゃねえか……だって、おまえさん、おれはまだわからねえんだからな……おれはまだすっかりわかっちゃいねえんだから。(略)」 こんなわけのわからない言葉をつぶやきながら、ロゴージンは床を敷きにかかった。 どうやらこの二つの床は、もう朝のうちから彼なりに考えついたものらしかった。前の晩は長椅子の上で寝たのだが、長椅子の上では二人並んで寝るわけにはいかなかった。ところが、彼はいまやどうしても並んで床を敷きたかったのである。そこで、彼は懸命になって、二つの長椅子から大きさの異なるクッションをはずし、部屋の端から端へと突っきって、厚いカーテンの入口のすぐそばまで運んだのである。なんとか寝床ができあがった。彼は公爵に近寄り、歓喜にあふれて、やさしくその手を取ると、助けおこして、寝床のほうへ連れていった。
(「同」 pp660-661)
……「彼はいまやどうしても並んで床を敷きたかったのである。」
……「歓喜にあふれて、やさしくその手を取ると、助けおこして、寝床のほうへ連れていった。」
…うん、わかるよロゴージン。 公爵かわいいもん…
恐れ多くも文学で、 いけなく萌えて、みましたが、 このシーン、ここからが、 涙ぐむほど切なくて、 何度も何度も思い出し、 じん…となっています。
作者、ドストエフスキーに、 「無条件に美しい人」、 「完全に美しい人」と、 云われたムイシュキン。
あまりに心が優しいと、 人は、この世でどうなるか、 その、切ない解答が、 書かれた名編です。
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