鶴は千年、生活下手

2012年11月19日(月) 悔しくてパニック?

土曜日、三人で格闘ゲームをやっていた。
もぐちゃんの必殺下段回し蹴り連続攻撃に、なかなか勝てないで
いた父だが、次第に対抗策を見つけて父が勝つようになった。
勝てなくなってきて、悔しくなったもぐちゃんは、リアルで格闘
ゲームをしようと父に声をかけ、相撲ごっこのようになった。
が、そこは大人と子どもの違いがもろに出るわけで、全く勝てな
いうえに、あちこち痛い思いをして悔しさは最高レベルに。
半泣きになりながら電話をかけようとしているので、どこにかけ
ようとしているのかと問いただしたら、悔しくてハアハアするの
が止まらないから救急車を呼ぶのだと言った。
確かに、泣きながらの呼吸は速いままで、まるで過呼吸のような
状態になっていたようだった。
まずいなあと思って、もぐちゃんを抱きしめて背中をトントンし
ながら、「ゆっくりゆっくり」と声をかけ落ち着かせていった。
ついでに過呼吸についても少し説明した。

格闘ゲームの前に、今はまだ持っていないカードゲームのスター
ターキットが欲しいと父に訴え、ダメ出しされたところだった。
欲しいを物を買ってもらえない悔しさを、格闘ゲームで晴らそう
としたのに勝てなくなってしまい、それではとリアルで戦おうと
したのだろう。
もぐちゃんの特性として、イメージはとても具体的にはっきりと
持てるのに、実際に具現化する段階でつまづいてしまって癇癪を
起こすことが多い。
今回も、おそらくリアル格闘で父に勝とうというイメージは強く
持っていたのだろうが、実際には全く歯が立たないという、われ
われからすればごく当たり前のことに癇癪を起こし、自分の中の
悔しさや苛立を処理しきれなくなった結果のパニックだったろう。

夢に見ちゃうかなと少し心配したが、わたしの説明で納得したの
か、ひどくパニクったわりに、その後は落ち着いていた。
母の説明。
「お父さんがゲームで絶対手を抜かないのは、君をゲーム好きの
 少年として認めているから何だよ。手加減しないのは君の力を
 認めているからなんだよ。
 だから、ゲームで手加減しないお父さんに勝てたときは特別に
 うれしいよね。
 でも、実際に相撲ごっことかをするときには、あれでも手加減
 してくれてるんだけど、大人と子どもだから全然勝てないのは
 当たり前なんだよ。」
格闘ゲームで、初めのうちは勝てたのは勝たせてくれていたのか
ともぐちゃんに訊ねられ、いやいやほんとに勝てなかったので、
父は研究して勝てるやり方を見つけたんだよと答えた。

いや、まったくいろいろと教えられることばかりである。
立ちくらみのときに抱きしめてあげられなかったから、土曜日の
パニックはしっかりと抱きしめて落ち着かせることができて本当
に良かったと思う。

欲しいと言っているカードゲームより、今持っているカードゲー
ムで父を倒せる方が楽しいよと、土日かけて父と母はわからせる
ことに成功した、と思いたい。
勝てないのはデッキの組み方なのだとわからせるために、試しに
父にデッキ構築させてみたら、ドロー次第で楽勝することもある
という結果になり、もぐちゃん大喜びである。

母の指摘が正しいとわかっていても、素直に言うことをきくのは
なんだかちょっとくやしいという感情を少しずつ持ち始めた年頃
でもあり、悔しさを自分の中で処理する方法を覚えていかなくて
はならないのだなと、もぐちゃんの心の成長についていきたい母
である。

 木枯らしに紛れ込ませてくやしさを飛ばしていける少年となる(市屋千鶴)


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市屋千鶴 [MAIL]