チューしたくなるくらい感極まる時……。
緊張を力にする人と、萎縮する人がいる。 マラソンの高橋さんや、スケートの岡崎さんを見ていると、緊張を力にできる人なんだなぁ……と思う。メンタル・トレーニングできているのだなぁと。
今日のアイスダンスを見ていて、メダル圏内の二組(本当は三組だが)大きな失敗をしてしまった。 4位につけていたペア。3位につけていたペアがこけて、メダルがちらついたのか、最後のフィニッシュで見事なまでにこけた。 しかし、女性の方はこけた状態のまま笑顔で、これが演技なのか? と思えるほどだった。 すごい勝負根性なのかもしれない。 私たちは、それでもいい演技したでしょ? というアピールだったのかもしれない。 そして、彼女は氷の上で唖然としている相棒にキスをした。 絵になる……。明るさがまぶしかった。
実は彼女、前の日のオリジナルでも、最後演技中に感極まって相棒にキスしている。演技終了後、彼の鼻が口紅で桃色になっているのを、おかしそうにぬぐっていた。 採点競技は難しい。 最後、観客の歓声や、演技者の態度で、多少の印象が変わる可能性もある。審判だって人間だから……。
でも、計算でもそうでなくてもかまわない。 彼女は体で笑顔で、自分を表現した。相棒をいとおしむ……。大事に思うことを。 それはとても印象のいいものだった。 精一杯の笑顔は、観客に向けられていたが、もしかしたらリフトを支えきれなかった相棒に向けられたメッセージだったのではないか? などと思ってしまう。
男性が途中でこけたもう一方のペア。 演技終了後は泣いてしまった。 女性の姿は前日の野獣のような形相から、女らしい雰囲気だったのだが、採点を待つ間も泣きっぱなしだった。 しかし、彼女は泣きながらもそっと、こけた相棒の手をとっていた。 これも同じ……。 相手にとっては、キスだったのではないかな?
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