カタルシス
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2002年09月23日(月)  ウォルフガング 

秋分の日でお休みの今日、妹と二人で前々から約束していた『アマデウス〜ディレクターズカット〜』を観に行きました。
新宿高島屋の上階にあるタイムズスクエアへ1回目の上映を目指して足を運んだのですが、定員オーバーでその回に入れないと係りの人に言われてしまい、仕方ないので次の回の整理券をもらって一旦はその場を退散したものの、これから2時間半 何をして過ごしましょうかと2人で頭をひねります。

先月2年間の留学から戻ったばかりの妹は 高島屋に訪れるのが初めてだというので、とりあえずこのデパートの各階散策をしてみることにしました。
上階からエスカレーターを使って順に下階へと移動し、目に付いたものがあればとどまって見物… もちろん何かを買おうという気はさらさらありませんが、それでも普段見慣れぬものを見るのは面白く、私も一緒になって あっちだこっちだと見て回っていました。

何だかんだで一番面白かったのはハンズを除けば地下の食品街でした(笑) ズラリと並んだ菓子店のウィンドウは圧巻。食べて美味しいかは別の話で、洋菓子も和菓子も見た目に美しいので心が躍ります。 食べ物のの色は鮮やかでも柔らかい彩りで、食欲以前にウキウキした気分になってきます。それももしかしたら動物たるものが本能的に持っている色相感の成せるワザなのかも知れませんけれども。(^^;)ゞ
留学前、資金を稼ぐ為に掛け持ちでバイトをしていた妹の午前中の仕事はパン屋の製造でした。そんな彼女は街のパン屋を覗くのが好きなようで、イギリスにいた時も 今いるデパ地下でもパン屋を見つけると「見つけた!」という顔で店に入っていきます。陳列された品物を見て、これはああやってるんだろうな、あっちはきっとこのパンがベースになってるね。なんて分析しながら ぐるりと一周。それでも買い物をして出てくれば良い方で、大概はそのまま手ぶらで出てきてしまうから 質の悪い客に他なりません(苦笑)

「だって味の想像がつくんだもん」「面白いのがなかったから」「モノと値段のつり合いが取れてない」などが彼女の主張のようです。そりゃあまぁイギリスはパンがべらぼーに安かったから日本のパンは高く感じるだろうさ。仕方ないじゃん『ゴハンの国』なんだから(^^;A と内心思いながら、留学経験のない私でもパンは割高と感じるので 彼女の持論に異論を唱える気はありませんでした。

そうやってデパートの各階をブラブラしているうちに時間なんてものは存外早く経ってしまうもので、2回目の上映時刻が迫って来ました。時間的には昼時でしたが、さほどお腹も減っていなかったので食事よりも映画の方を先にしました。

『アマデウス〜ディレクターズカット〜』
1986年に公開された『アマデウス』の再編集版です。通常ならそれほど触手の動く系統ではないのですが、とある映画好きの方が「今まで見た中で一番だと思う」と評していたので何となく興味を引かれ、観に行こうかなぁ…と言っていたら それを聞いていた映画好きの妹が「私も観たい!」と同行を志願したといういきさつでした。アマデウスってくらいですから、当然モーツァルトの話ですわな。一応彼の生涯については多少の知識があったので、宮廷作曲家サリエリや 婦人のコンスタンツェの名前も知っていましたし、イタズラ好きで下品な冗談を言っては貴族達の眉間にシワを刻ませていた。という彼の性格についても聞き及んでいました。
ディレクターズカットなので当初カットされていたシーンが加えられ、その分上映時間も長くなる訳で。3時間弱と知った時は最後までちゃんと観ていられるか不安が過ぎりましたが、実際に観てみたらそれほど長さは感じませんでした。多分それなりに面白かったんだと思います。
が、どこがどう良かったのか?と問われると 何とも返答に困ります。物語としては最後の最後、サリエリとの作曲作業の場面に神がかったものを感じて気圧されもしましたけれど、他は割と淡々としていたと思います。私が観ていて感心したのは衣装や建物の設え・内装の壮美さと、常にモーツァルトに包まれているような音響美です。途中でふと 昔に観た『おろしや国酔夢譚』という映画を思い出しました。
それは日露共同で製作されたスケールの大きな作品で、ロシアに漂着した日本漁船の頭領・大黒屋光太夫が帰国嘆願の為に時の女王エカテリーナ2世に謁見するシーンがあり、その衣装と建築、内装の見事さに 中学生だった私は仰天しながらスクリーンを凝視したものでした。
その時の記憶が甦るようです。

話を『アマデウス』に戻します。
モーツァルトと言えばオーストリアの作曲家です。言葉はドイツ語が使われていたハズですが、この映画では終始英語が使われています。しかし劇中では「オペラはイタリア語で書くのが当たり前」「母国語とはいえドイツ語のオペラなんて邪道だ」「ドイツ語はオペラには向いていない」等々の論議がなされていたので、思わず「だったら英語使ってんじゃねーよ!」とツッコミたくなりました。
いくら私にだって英語と伊語・独語の違いくらいは解ります。
後で妹に聞いたら殆どの人がイギリス英語を使っていたそうです。中にはイタリア訛りの英語の人がいたそうですが(サリエリは伊訛だったらしい)米英語が目立たなくて以外だったと言っていました。
流石にそこまでは聞き分けられません…

最後までしつこくテロップを見ていたらイタリアやチェコのクルーがいました。イタリアは解るとして何でチェコ?と思いましたが、殆ど室内のシーンでしたし、屋外のシーンは限られた場所(いつも決まった街角とモーツァルトの家の外観、あとは墓地くらい)しか映っていなかったので この極少ない屋外のシーンをチェコで撮ったのだろうか?と推測しました。雪はよく降るだろうし、古めかしい建物や街角が多そうだから(単純な理由/笑)

いつもこんな風に批評眼というか、ツッコミ眼で映画を観ています。
余計なお世話眼とも言えるかな? 根性悪な鑑賞客かも知れませんね(苦笑)


劇場に入る時チケット売場で何故か折り詰めの菓子が売られていて、その商品名が『ヴィーナスの乳首』という名前だったので妹と二人で「何だこれ?」と話していたのですが、映画を観ていたら劇中にそのお菓子が登場していました。モーツァルト命名の砂糖菓子だったみたいです(^^;)
手の平半分くらいのサイズで ドーム型の白いマシュマロ?の頂点に丸くピンク色が敷かれ、その中央に突起… つまりそういう形のお菓子です。フワフワと柔らかそうで見た目には結構 可愛かったです。商品名に若干抵抗がありましたが『ご好評につき完売』となっていたので、ちょっと食べてみたいかも。と思ってしまいました。

完売してたから 買える訳なかったんですけどね。


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