カタルシス
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2002年10月13日(日)  エンターテインメンツ 

いつも一緒にコブクロのライブに行っている友人の母校でコブクロが学祭ライブをすると知ったのが2ヶ月くらい前のこと。それとさして変わらぬタイミングで 愛知に住んでいるコブクロ友達が「私の母校でコブクロが学祭ライブを!」と言ってきた。
2人が同じ学校卒な訳ではない。
たまたま東京と愛知で彼らが出演依頼を受けた大学が それぞれ彼女たちの母校だったという話だ。

ちなみに、私は短大や大学には行っていないので高校が母校となり学祭にアーティストを呼んでライブなんて可能性は極めて低い。ついでに言うならデザイン科のある学校だから呼ぶなら違う意味での“アーティスト”が先なハズだ。ま、それも厳密には違う人種なんだけれども。(多分呼ぶなら“デザイナー”)

今日は東京の方の学祭だが 愛知の人も遙々参加が決まっていたので彼女とは現地で合流することにして、もう一方の友人とは昼ごろ大学の最寄り駅に待ち合わせることになった。何しろ母校なのだから これほど心強い案内人は他にない。
そして私はというと、その友人に借りていたビデオを見切っていなかったのを思い出し、やおら再生したのが昨夜のこと。それからぶっ続けで朝までかかって何とか制覇し、少しだけ眠ってから いつもの朝の番組を見るためにTVの前に座った。何やかんやと9時まで見ていたらすっかり目が覚めていて、そのまま外出の身支度に取りかかる。

当たり前のように移動中の電車では爆睡(苦笑)半分寝たような状態でも約束の刻限には遅れずに到着する。そして母校まで連れて行ってくれるコブクロファンの友人と、その付き合いで来ることになった友人が一人。この場に待ち合わせた面々はこの3人でひと揃いだった。

友人の母校に到着すると まず食道へ直行して昼ともつかない半端な時刻に軽食を取った。卒業生である友人のススメに従い、我々はホットサンドを注文する。『生姜焼きサンド』『チキンサンド』etc… 人気の品には「売切御免」の札が下がっていた。ペットボトルのお茶を片手にテーブルの並ぶホールへ出ると、席を選ばぬうちに愛知からの友人が姿を見せた。おーい、と手を振ると すぐに気付いてこちらに寄って来る。4人でテーブルにつきホットサンドを頬張りながら談笑〜

開場の16時を待って公会堂に移動を始める。新しくてとても綺麗な施設だったので、立派なところだねとコメントしたら「卒業してから改装されたんで私もびっくり」と答えを返す友人。彼女も我々同様に天井や壁を見上げながら歩いていた。

ライブはアコギ1本のみの伴奏で歌を聴かせる 一番シンプルな体勢で終始していた。元々これがストリートに立っていた彼らの基本編成な訳で、正式デビューの前から彼らの音楽を聴いていた自分は 特に違和感なく聴いてしまったが、これで2時間以上の間を持たせるのはやはり スゴイことなんだろうなぁ…と後になって感心する。自分より年下でも立派なプロなのだ。

普段だと3時間くらいになるステージも、さすがに学祭ではそうはいかず1時間40分程度のあっさりしたものだった。我々もその場に留まることをせずにサクサクと会場を後にする。
というのも、私にはこの後べつの用事が控えていたので 例え他の3人が食事やお茶を求めて店に入ったとしても、離脱して次なる場所を目指さなくてはならなかった。その用事とは、

ハリマオのライブ



今日の日程がかぶったことを知った時「出番が遅ければ行けるけどなぁ…」とハリマオVo.夢立さんに愚痴ったりした。コブクロの方は事前にチケットの手配をしていて それをフイにしたくはなかったし、学祭はスタートが早いと分かっていたから うまくすればハシゴができる?!なんて欲張りにも考えたのだ。そして驚いたことに夢立さんは本当に出番を遅い時間にしてくれた。
私が強請ったのでそうしてくれたのか、はたまたタダの偶然だったのか、そんな詮索はわざわざすることもなく、単純に喜び勇んでお礼を言った。9時を過ぎる出番であれば のんびり移動して尚 時間が余る。
そして私は当初の予定通り行動を開始した。

大学の最寄り駅市ヶ谷で友人達と別れ、小田急線に乗るべく一旦新宿へ。時間にはかなりの余裕があったので、新宿で途中下車し駅構内にあるフードストア『成城石井』に向かった。ここの店舗は小さいながらも酒類を扱っている。

夢立さんが「最近 白ワインがマイブーム」だとバンドのサイトの掲示板に書いていたので、手頃なものを見つくろって手土産にしようと思ったのだ。
今回の時間操作の件も然ることながら 前回グルタミンのチケットのことで気を回してくれたことも気持ちの上では“お礼”に含まれている。更に細かいことまで言ってしまうと、居合わせれば毎回声をかけてくれる、打ち上げや飲みに誘ってくれる、なんてことも その度に嬉しくて有り難いと思っていた。その“日頃のご恩”を全部ひっくるめて託すにはちょっと安上がりかとも思ったが、大げさにするのはかえって迷惑だろうから、という独断を決行。他のメンバーには申し訳ないが、今回は夢立さんだけ特別☆ ということにさせてもらった。

酒の善し悪しなど下戸の私にはよく解らないので、プライスチップの説明書きと店のコメント ラベルのデザインや品物の価格を見比べて「この辺かなぁ…?」というものを1本手に取る。
基準は「白・辛口・仏産」
例え酒が得意だったとしても店頭で試飲が出来る訳ではないので、誰が選んでも当たり外れは結局運だ。取りあえずこの辺りをおさえておけば、それほどの大ハズレにはなるまい という判断だった。
レジで会計を済ませる際に「贈り物用に包んで下さい」と頼み、ラッピング作業を店の端で眺めていた。そろそろ時刻も頃合いだし と、店を出るとまっすぐに小田急のホームへと向かう。

21時下北沢。
会場はBASEMENT BARというライブスペースだ。大まかな位置は把握していたものの 行ったことのない会場だったので、事前に用意していた案内図を片手に 注意しながら道を進んだ。一度訪れた場所は何年経っても覚えている自信があるが、異様なほど初めての場所に弱い私。この期に及んで迷ったりしたら笑うに笑えないので 些か緊張の面もちである(苦笑)
通い慣れたCLUB251の前を通過し、道なりに進むと信号が見えた。案内図の「目印」の一つであるのを確認して先を進もうとしたら 手前のコンビニからYさんがひょっこり現れた。
「あ? …おーい、Yさーん。」
声を掛けると 封を切ったばかりの箱からタバコを取り出しながら、チラリとこちらを向く。
「あー、これちゃーん(笑顔)」
取り出した1本をくわえると 空いた手をチロチロと振って、私が追いつくまで待っていてくれた。
「良かったー、知らないトコなんで不安だったの。Yさん知ってる?」
「ううん、あたしも初めてー。」
じゃあ一緒に迷おう(笑)と歩みを合わせる。

周囲に気を付けながらそのまま進むこと数分、会場を見つけるよりも先に見慣れた人物を発見した。携帯電話を片手に我々の方に向かって歩いて来る
夢立さん。
誰かを迎えに行くところかな?と思って見ていると 会話を続けながらもこちらに気付いたようで、ブンブンと大きく腕を振ってくる。つられて手を振り替えしたらニッと満面の笑みを見せてからすれ違った。
その背中を見送り前を向き直すと、歩道にGの和泉さんとBの山田さんの姿が見えた。和泉さんは停めたバイクに跨ったまま突っ伏していたので彼だと解るまでに間があったが、山田さんの方はガードレールに腰かけてボーっとしていたのですぐにそれと解る。そして向かいにある建物の地階が『BASEMENT BAR』だということに気が付いたのは そのすぐ後だった。

ちょっと押してる
というメンバーたちの言葉に それなら、と腰を降ろしてメンバーやYさんと雑談を始めた。「じゃあそろそろ準備に…」と残してメンバーが中に入った後も しばらくそのままYさんと話を続けていたが、駅の方から近づいて来る人影を目にして「…そろそろ入る?」と顔を見合わせた。

遠目に見ても春山さんと解るシルエット。その隣には鈴木さんとさらにもう一人連れの人。風貌がバラバラな所為か3人並んで歩く姿が やたらと目立って見える。
あー… 今日も来たのか…(別に嫌な訳じゃないんだけど何となく 苦笑)
Yさんと話を続けながら階下へ続く階段を降りる始めるも、話のキリが悪くなりそうだったので話し切るまでと思い 途中で足を止め口早にやり取りをしていたら、先ほどの3人が先を越して中へと入って行った。追い越す際に春山さんだけはこちらを見て小さく会釈をくれたので、話を続けながら会釈を返す。
そしてキリの良いところまで話を済ませた我々は、彼らにちょっとだけ遅れるタイミングで会場のドアをくぐった。

中へ入るとまだ前のバンドが演奏中で、壁に遮られたステージは映写機を介し その壁へと映し出されていた。変わった間取りの会場で入ってすぐは戸惑いもしたが、ステージの場所が把握できたあとは壁に映る映像の方を選び のんびりと眺めていた。ステージの照明に照らし返された客の中に グルタミンの豪さん夫妻、工藤さんの顔が見える。
ドリンクを交換しに行ったらすぐ横に鈴木さんたちがいたので、何となくそことは離れた場所に落ち着いた。どんなに近くにいても目が合わないのは「話しかけるな」ってことなんだろうなぁ… と思ったから。
別に用事がある訳でもなし、ハリマオのライブを聴くのがメインだから 関係ないっちゃ関係ないのだもの。

前のバンドが演奏を終えて客の入れ替わりが始まったので、入り口付近に立っていた私は人の波に分け入って 奥の壁際まで行き 壁に沿って並んだイスのひとつに荷物を置いた。すぐ横のDJブースではイベントの進行役アフロヘアーがカンペに目を通している。
少ししたらYさんも近くにやってきたので目を配せ合ったが、それ以上特に近づかず ステージを自分の良いようにして見ていた。そしてアフロに紹介されて登場したハリマオは イベントのトリを見事につとめ上げるのだった。

本日の新曲は『斜陰』
耳で聞いたときはSHINE?とも思ったが、夢立さんが「斜陽の反対」と言ったので漢字変換ができた。
気の所為か、今までで一番良いライブだと思えてニコニコしていたらYさんが背後に寄ってきて
「今日すごく良かったね」と耳打ちする。私は思っていたことを見透かされたのかとビックリしたが、そうではなくて Yさんも「良い」と思っていたのだ。ならばそれは私の気の所為ではなくて、本当に「良かった」んだろう と素直に思う。

全てのプログラムを消化してステージのライトが落とされた。代わりに客電が灯り それを合図に客がぞろぞろと引き上げていく。
私はしばらく場内を伺っていたが、夢立さんが出て来たのを見つけて声をかけた。着替えは済ませていたものの汗は引ききっておらず、首に巻いたタオルで濡れた前髪をかき回している。ライブの感想とお礼の口上を述べて手土産のワインを渡すと、大仰に驚いた表情を作って「ありがとう!」と笑った。
この大げさな身振り手振りこそが 彼の持つ魅力な訳で(笑)もちろん相手のことを考えての行動だろうから 本音と違っている場合もあるのだろうが、それでも反応がハッキリしているのは安心する。だから好きだ。

「今日のすごく良かった 今まで聞いた中で一番かも」と伝えたら
「マジすか?!」と言った後で「実は自分でもそう思った(笑)」と、夢立スマイルを見せる。

後片づけがあるからと 長話はせずに別れて、私はそのまま帰ろうと出口に向かう。途中山田さんとすれ違ったので思い出したように言ってみた。
「サンダーさーん、今日のサンダーさんカッコ良かったよー」
「え、そう? ありがとー(笑顔)」
軽く返された(笑)
実はハリマオの彼を誉めたのはこれが初めてだったんだが… きっとあの様子じゃ気付いてないな(苦笑)
まー、いっか。

出口付近にいたYさんに「帰るね」と声を掛けて通り過ぎようとしたら「あたしも帰る」と言うので一緒に帰ることにした。近くにいたグルタミンの豪さんと工藤さんに
「帰ります」と会釈すると
「帰えるの?」と追いかけられたので 笑いながら逃げまわり、階段付近で改めてさよならをした。
こんな風に構ってくれるのが嬉しいんだよ。本当良い人達ッ!

「良かったねーハリマオ」
「本当、私たちしかいなかったのが勿体なかったね」
いつも来ている面々の揃いが 今日に限って悪かったのを残念に思った。


今日の余韻は コブクロよりハリマオの方が上だな〜…


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