カタルシス
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台風だったのでサッサと帰ろうと思って新宿まで行って地下通路を歩いていたら JRの業務連絡が放送で《○○線人身事故で上下線不通〜》と言っているのが聞こえた ○○線ってそれ乗らないと私 家まで帰れないんだけど…
実際ここまで来たらルート変更は難しかったので様子を見に一応その私鉄駅まで行ってみた訳 そしたら改札にロープが張られて構内に入れなくなっていて その手前からずーっと人だかりが続いて すし詰めの蒸し風呂状態よ(汗)
こりゃーしばらく動きそうがないな と判断して駅を離れた 時間が早かったので気晴らしに映画でも観てみる?という気になって歌舞伎町へ足を向けたものの 今から観るのに手ごろで観たいと思う作品に該当するものが1本もなく
観たいもんがない! 結局トロイの木馬(セット展示中)を一周しただけに終った
雨はおさまりかけていたが豪風が吹き止まず 傘をさすのが難儀な巻き風だった 頭上のあちこちでガン!とかバリバリ!なんていう正体不明の激音がひっきりなしに聞こえてくるので ちょっと外にいるのが恐くなって手近なファーストフード店に逃げ込む 適当に注文して時間を潰すか…
皆考えることは似たようなもので どの店もその場凌ぎの客であふれている様子 駆け込んだのはそんな中でもすぐに座れそうな客入り具合だったからであって 別段その店が好きなわけではない しかし背に腹は代えられないと諦めて 不本意な夕食をそこで済ますことになった
ハンバーガーとポテトと飲み物を前に メールしてみたり 運行状況を知る為のサイトを探してみたり 携帯電話とにらめっこすること数十分 飲食いにも携帯にもいい加減飽きてきたので時間を確認すると 店に入ってから1時間が過ぎていた
…そろそろ動きがあったかな?
探してみたけれどJRの運行状況しか知ることができなかったので 私鉄が今どうなっているのか不明なままだったが とりあえず様子を見に戻ることにした これでダメだったらJRまで戻って中央線で国分寺→私鉄 のコースで帰るしかない ひたすら面倒くさいがこの際仕方ない
再び訪れた駅は1時間半前と変わらぬ混雑ぶりで一気に気分が萎える思いだった こんなことなら時間つぶしなど考えずさっさとJRでぐるっと回って帰るんだった… と今更ながらの大後悔
JRに戻る前に振替輸送の切符をもらってやろうと思い ギュウギュウの改札前に挑みかかろうとしたとき 人ごみの先頭が急に流れ出した ?!
改札が開放されたのだ
ってことは運行復旧したんだな? となると振替切符は発行されないか… 流れ出した人ごみに加わると 遅々とした進みにイライラが募る それを必死に堪えて汗と一緒に拭うこと十数分 いや それ以上か? やっと改札を抜けることができた ある種の解放感を得て気の所為か呼吸が楽になる… と思ったら 今度はホームが黒い人だかり(汗)
既に到着して出発を待つばかりの電車は これ以上入らないだろ?!ってくらいに人が乗り込んでいるのに まだまだ後からグイグイと押し入っていく人が後を絶たない あんな電車にゃ乗りたくない と思った私は いつ来るか知れない次の電車を待つことにした 待つ列もそれなりの人数になっていたので次で席に座れるかは解らなかったが それ以上待つほどの気分でもなかったので 座れようが座れまいが「次で帰る」と決めて どんどん乗り込みがキツくなっていく目前の車両を見ながら 頭の奥では地獄絵図を連想していた
「ひゃあっ…」 ドサッ!
…ドサッ? 自分のいるホームの少し先の方で 短い悲鳴と重たく鈍い地響きが聞こえた 周囲の人間がいっせいに同じ方向に顔を向ける 向こう側のホームに列を成していた人たちも 皆同じ一点を見つめていた
ややあって駅員がバタバタと駆け抜けて行き 何やら立ち騒ぐ気配が伝わってくる 程なくして構内放送がかかり 《業務連絡 業務連絡〜 2番に人が降りた模様》
「落ちた」んだろ? 人ごみで何も見えないが そのくらいのことは誰にだって解る(苦笑)
《業務連絡 業務連絡〜 2番に担架要請》
あらら 怪我して上がれなくなっちゃった? それとも気ぃ失ってんのかな?
《担架持ってきて》
《担架だよ!》
何か乱暴な構内放送だなぁ…
《早く担架持って来いっつってんだろ!》
キレた(苦笑)
ホームの逆端から担架を持った駅員が小走りにやってくる 「すみません すみません 通してください すみません!」
ホームは次の電車を待っている人であふれ返ってる訳だから ただ通り過ぎるのだって簡単にはいかない そんな所を担架持って動いてんだから時間もかかるってもんだ
でもさ
どうせ要請した先はホームの下なんだし 全線不通で電車は入って来ないんだし いっそ線路に降りて走った方が 早いし安全なんじゃないの? なんて思うのは私だけか? 後ろを横切った担架運びの駅員を見て「あんたまで落ちるぞ」と失笑したのは 私だけか??
そんな騒ぎと同時進行で 目の前の電車が発車しようとするアナウンスがかかっていて 《3番 発車しま〜す》プシュー… ドアが閉まらず 硬直する車内の客の 震える腕や脚
《3番 発車します》 ドアは閉まった でも発車はしない
《3番?》 《3番発車できません! ××がかかってます!》←別の声(××は聞き取れず)
『踊る大捜査線』かよ(笑)
思わず「あっちもこっちもテンパってるなぁ…」とボソったら 隣のOLさんにウケられた みんな思ってんだろ?同じこと(苦笑)
その後 3番線も2番線もトラブルを何とか乗り越えて 次来た電車は比較的空いたままの発車となった 座れなかったけど そんなにキツくはなかったので良しとする 当初人身事故と聞いていた遅れの原因は他の場所での倒木が更なる遅れを招いたらしい 台風で線路上に樹が倒れていてその撤去に時間がかかったと そりゃ時間もかかるわな(苦笑)
結局予定をまるまる2時間オーバーしての帰宅となったが 別段用事があった訳でもなかったので ひと息入れたらもう笑い話になっていた
あまりのヒマさに逐一実況中継をメールで送りつけていた妹が夜中になって帰って来て 「姉ちゃんのメールかなりウケたよ」との感想をくれた
あの状況をそんな風に楽しんでもらえたなら まーいっかね(苦笑)
『嵐が丘』1988年/日本
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