カタルシス
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2004年07月21日(水)  霊幻道士 

香港映画『トランサー -霊幻警察-』鑑賞

TSUTAYAの棚を眺めてて たまたま見つけた1本です ニコラス・ツェとスティーブン・フォンが主演だったので手に取ったら 吹替が松田悟志&萩野崇と書かれていたので ちと興味が湧きレンタルってきました
松田氏 萩野氏は 前々クールの仮面ライダーでレギュラーだった人達です(苦笑)

ニコとスティーブンと ちょっとだけどサム・リーも出てて 『ジェネックス・コップ』から4年振りの共演だったらしいです それぞれ育っていて感慨深し

ニコは骨太になった分 前回感じたような美少年度が下がっていて残念 「綺麗」からは離れちゃったけど男ぶりは上がったと言っておきましょうか

スティーブンは短く刈った髪がとてもよく似合っていて◎! 往々にして長髪というか 半端に長い髪型の役が多いので気付きませんでしたが これなら充分アイドルで通ります イケるイケる(笑)

初っ端にチョロっとだけ出てくるサム・リーは相変わらずのコミカルキャラ でもちょっと肉ついた?何かゴツくなってて意外でした 虚弱なガリガリ体型だと思っていたら いつの間にかしっかりした体つきになっていて… 嬉しいような残念なような(何故?!)

ストーリーはむっちゃ香港的 他の国には定着しないだろうって設定でした 何しろ「霊幻」ですから ハイ
キョンシーこそ出てきませんが 主人公は道士です 道士という表現もされていませんでしたが 彼らのやっていることは それそのもの 姿形やアイテムが近代化しているだけで 根底にあるものは昔ながらの霊力魂魄の世界 古い習わしをそのまま現代風にアレンジしたようなものでした

つまりはちゃちなオカルトです(苦笑)

あーのねー 設定自体は面白いと思うんですよ 天涯孤独の星の元に生まれた青年が 類い希な霊能力を活かして人間界と霊界の狭間で起こるトラブルを解決していくというね ベタなコミック・ヒーロー設定で

彼に関わる者は薄命の運命を辿ると占見されてから 極力誰とも関わらないように生きてきた主人公の もの悲しい身の上とか トランサーの仕事はペアでしなきゃいけないんだけど 同僚になっただけでも彼の運命に影響されるんで どうしても守護霊と人間のペアになってしまうとか めちゃくちゃなようで割とつじつまが合ってるところがスゴイ

や つじつまっつっても あくまで霊幻な話なんでね 一般常識のそれとは端から違うんですけど(苦笑)

主人公ヤウ(ニコラス・ツェ)は革製の黒づくめ衣装でお仕事をこなします どうもこれが制服のようなものらしいです ロングコートの中に霊幻アイテムを忍ばせていて 前をバサっと開くと内側に色々仕込んである みたいなオモロ服(笑)そしてその格好が『仮面ライダー龍騎』の登場人物・秋山蓮のしていた格好と瓜二つで大笑い 蓮は当時松田氏が演じてらっしゃいました 吹替はもちろん松田氏が主人公ヤウ!

一方のフォン(スティーブン・フォン)は真面目で実直 でも大らかで穿ったところのない好青年 一般警官だった彼はたまたま霊視ができる体質だったため 仕事中のヤウと居合わせたことから特警(トランサー)に興味を抱き 仲間にして欲しいと名乗りを上げてくる

魂再生の周期にあたる相棒(守護霊)を再生させてやるために コンビを解消したばかりだったヤウは フォンの申し出を受けて複雑な心境になるのだった

彼は天涯孤独の運命を背負っている
相棒にするということは その相手の死が近いことを意味するのだ

希望に燃え 人々の役に立ちたいと願う青年フォン
その純真さが かえってヤウを悩ませる

…なんか先が読めるでしょ?
だってコンビ組むしかないじゃん 2人が主役の話なんだから(苦笑)
そんで友情芽生えちゃうんでしょ? そんで更に悩んじゃうんでしょ?
ほうら クールに見えて実は人情味溢れてるヤウ本来の姿が見えてきた!

あとは最後をどうまとめるかがポイントよね

大筋は友情とアクション 間にはさまる淡い恋の物語 ところどころに散りばめられたバカギャグ
いいね いいね 実に香港チックなエンターテインメント 有無をも言わさぬ強引な展開も嫌いじゃない
難点を挙げるなら女の子が可愛くない 何とかしてよ 街を歩けば美人にあたる香港じゃない 他にもっと可愛い子いたでしょうに(不満)

霊が普通に見えちゃってる彼らの周囲には 外を歩いてる時も 屋内でくつろいでる時も 当たり前のように霊体がいるんです それらに対して さも普通そうに対応している様子が地味に面白い
しかも フォンは霊視ができるくせに恐がりで 突然現れる幽霊に驚いて腰を抜かしたりする そんなヘタれとシマりの加減が絶妙の 登場人物たちが魅力的で その他のC級具合には目をつぶってあげよう という気分になれちゃうんです キャラの強さは重要だよ(笑)

人間の涙は執着の証
霊の涙は愛と再生の象徴


少年の霊が 下の子を出産の際に母親が命を落とすと知り その霊を迎えに来るシーンで使われた言葉
母親の霊は病院の廊下で泣き崩れる夫を不憫に思い せめて子供だけでもと 夭逝した我が子の霊に赤ちゃんの体に入って生まれ変わるように言い含めます「お父さんを元気づけてあげて」と落とす涙
少年はその涙を手に 再び「生」の世界に生まれ落ちるのです

この言葉 名文句!
この後の展開にも関わってくる伏線になっているのですが とても自然に入り込んでいて「うまい!」と感心してしまいました
直接メインのストーリーに関わってくるわけじゃないんですが ところどころに現れる「普通にいる幽霊」がキーワードを運んでくるところなんかは よくできてると思います



変なところで手を抜くのやめようよなー 少年の霊が車に跳ねられるシーンなんて どう見ても人形じゃんかー(笑)他にも思わず吹き出してしまう演出がチラホラあって シリアスなんだかコメディなんだか って印象
アクションシーンでのワイヤー技術はスゴイくせに CGいまいち使いこなせてないよ もそっと頑張れ!

水鬼(水霊 …ちゅーか“水”の霊って何?)役のアレックス・フォン 『仮面ライダー龍騎』で萩野氏が演じていた浅倉にクリソツで爆笑 萩野氏はフォンの声あててましたが こっちの方が良かったんでないの?ってくらい 瓜二つ

なんなんだこの映画!(笑)

最後に特典映像のインタビューを見ていて気づいたこと
主人公の「ヤウ」って名前は本当の名前じゃなかったようです 通し名とかコードネームの類だったのかな?でも劇中の訳にはそんな説明いっさい出てきません

そこで考えた
「ヤウ」ってもしかして 漢字にすると「有」なんじゃないかしら?
つまり「存在する」ってだけの意味

とかまで考えて調べてみたら「潮」と書くらしい。全然関係なかったか(^^;)ゞ

『霊幻道士』1985年/香港


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