振りかえれるものをもてることが なにより一番嬉しいことだと知りました 別れ際に振りかえって あなたと出逢えて本当によかったと 思えたならば幸せなんだと 今までの人生で いくつもの出会いを繰り返したが 後悔するべき出会いなどなかった たった今、この時間までは・・・・ 「なかったんだよ」と思いこもうとしていただけで ほんとうは 悲しい出会いもあったんだよね 「命の重み・・・このことをあいつに教えたい!」と 若い二人を一緒にすることに賛成した父 その言葉の重みを どれほどの比重で考えてくれたのだろう 生きることは容易ではない 甘えることも容易ではない それは昔、昔のものがたり 今の世の中通用しやしないんだ 「命の重みより 言葉の重み」 ”言葉”というやつほど厄介なものはない いくつもの受け取り様で姿形を変えてしまう だからこそ、”言葉”は選ばねばならない そういう教えかたをしてなかった親にも責任はあるだろう バイバイと小さなもみじの手をふって 孫はドアの向こうへと消えた もう2度とふれあうことなどないであろう いくつもの出会いがあれば別れも訪れる 望むと望まざるとにかかわらず別れはいつか訪れる その時刻がほんの少し早いか遅いかの違いだけだ・・・・ 我が家に天使はまぎれもなくやってきて そして3歳の秋去っていったのは事実だから 世の中がどう変わろうと親子の情が変わりはしまい どんなに遠く離れてしまおうと 自分が生み出した命を忘れることなぞないのだから それが 母であると私は信じる そしてその悲しいかな 母となるしかできなかった 私自信を夢幻ではなく 現実の出来事として受け止めようと決めた なんとおだやかな時間であろう やっと ほんとうにやっと 子離れ完了である この瞬間 私はすっかりあの子を飛び立たせた それはいくつもの嵐を伴ってはいたが 巣だったことには違いはない あとは野となれ山となれ 自分の人生自分で切り開け 口を飛び出した”言葉”がひっこめる場所のないことを しっかりと二人は身にしみて身をもって知らねばなるまい どれほど 愛してくれていたのか どれほど 心配してくていたのか どれほど 守ってくれたのか 小さな命しっかり守って生きていけ! 自分よりもその小さな命を一番に それだけが願いだ それだけが親として願える最後の思いなのだ 朝が早くくればよい なにごともなかったような朝が 朝が早くくればよい 昨日のような 今朝のような 幸せもどきの朝でもよいから あの朝をとりもどしたいと ふとおもった 子離れしたといいながら ぐずぐず言い出す心をいさめ 子離れは今が潮時なんだと 言い聞かせている 願いもせぬに あふれる涙よ あのひ 命を生み出したあの日 こんな思いをするなぞと 誰が教えてくれたろう 厄年に子供を産むと苦労だぞ だれかがささやいていたけれど 命は命・・・ こんな日がやってくるなどと 誰も知りはしなかった 子離れするって厄介だ できそうでできないからこそ辛いのだ 心を鬼にする それも大切 一回り大きなにんげんになってくれ 血を吐き 天を恨んで生きようと 人間であることは忘れないでくれ 父が母が おまえの為に生きぬいた事実を 決してわすれないでくれ それが最後におまえにおくるはなむけの言葉だ 日記というものは 心の叫びをつづるもの 誰かに読ませるものでは決してない 真実もあれば虚偽もある その日心に思った言葉をつらつら綴ってみるだけだ 真実だったりうそっぱちだったり それでも生きているからできるんだ 生きなきゃ 生きつづけなきゃ意味がないと思うんだ なにがよくて ないが悪いなんてないんだ なるようにしかならないように動いているのが運命だ 運命はおおよそ浅はかな人間様の力では変えようがない 人生は最後の幕引きでどうだったのかがわかるという その時刻まで したたかだろうが 傲慢だろうが なんとかかんとか生き延びようじゃぁありませんか 出会いの数だけ別れはあると 昔だれかがいったっけ 子供だったり友達だったり そうそう 今日の別れはいったいだぁ〜れ いい出会いだったのか わるい別れになったのか 最後の幕が降りるときには わかるだろう さよならだけはいわないつもり さよならは私がこの世の旅を終えるときだけ言えばよい いつのことだかわからぬが 明日かもしれず ・・・・・ 明日をもしれない命だからこそ そのいとおしさが身につまされる
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