バカ恋
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■ ないものねだり ■


昨夜シュウはアタシの頬を両手で包んで

気の済むまでゆっくりしてていいんだよ

そう言った。

そんなに甘やかさなくてもいいのに。

もっと厳しくしてくれていいのに。

でも、有難う。

許されたこの環境の中で、

アタシには何が出来るのだろうか。

家族の為に、自分の為に、

アタシは今、何をしなくちゃいけないのだろうか。






アタシを癒してくれる筈の休息も、

必要だったのはたったの参日くらいで、

今は、暇を持て余し、

自分を見つめ直す為の戒めみたいな時間に思える。

煮詰まっちゃってどうにも成らない時は休息を求めるくせに、

いざ、休息が与えられると息が詰まって上手に暮らせない。

悲しいくらいの無いもの強請りだ。

やっぱりアタシは、

仕事をしてなきゃ呼吸出来ないみたいだ。







其の前に、

家のこともキチンとやらなきゃ。

明日は庭の手入れをしようと思う。

芽が出てきたチューリップの柵を作って、

ハーブの苗も植え換えしよう。

それから、

枯れてしまった木苺の木の根っこから、

新しい葉が芽生えてきたから、

其れも丁寧に植え換えしてあげよう。






やるべきことはたくさんあるじゃないか。

手を掛けなきゃ咲かない花はたくさんあるじゃないか。

守られている自分と、守っていかなきゃいけない自分。

そんな当たり前のこと、どうして何時も忘れがちになっちゃうのかな。








折角の休息だもん。

いっそ愉しんでしまえばいいんだよね。

気配の無い滞留は、腐っていくだけだ。

優しいシュウの温もりがこの身体から消えてしまわないうちに、

丁寧にラッピングして、リボンをかけて、

アタシの一番大事な処にしまっておこう。

ずっと忘れないように。ずっと宝物。

アリガトウアイシテル。








○○○私伝 R嬢へ○○○

アナタはどうして何時も

アタシの一番痛いところをズバっとついてくるのですか?

アナタに指摘されると、ほんと、ぐうの音も出なくなります。

頬っぺたをギューって摘みたくなるくらい、

力いっぱい抱きしめたくなるくらい、

アナタのことが大好きです。


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