バカ恋
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■ とりこし苦労 ■



アタシだってシュウの過去が気にならない訳じゃない。

けれど、昔の話を何時までも引きずる気もないし、

アタシとシュウがこう云う関係になった時から、

アタシ達の歴史は始まったわけで、

其れ以前の事はアタシの中では何でもない事だ。




アタシだってシュウが何時か心変わりするんじゃないかって、

突然心配になったりもする。

気持ちは永遠ではないし、

好きになってしまう心は誰も止められない。

自分に自信が在る訳でもない。

不安要素を挙げたらキリが無い。



アタシはシュウより随分年上だとか、

バツイチで子持ちだとか、

かつて人を死ぬほど傷つけたりしたとか、

誰かのせいにして笑っていた事があるとか云々




けれど、其れが単なる言い訳にしか過ぎない事をアタシは知っている。

其れが自分を甘やかしてる材料だって事をアタシは知っている。





シュウの気持ちが変わる事を懸念するのは卑怯な事だ。

だったら、

シュウの気持ちが変わらないように努力をするべきだ。

アタシが出来る事を精一杯に努力した結果、

其れでも彼の気持ちが変わってしまったら、

アタシは多分、自分を責めずに済むだろう。





今のアタシは、シュウにとても愛され、大事にされている。

だから、

此の侭、其の素晴らしい待遇に胡坐をかくのではなくて、

アタシもシュウをとても愛し、大事にするべきなのだ。

当たり前の事だけれど、忘れちゃいけない事なのだ。

簡単そうだけど、とても難しい事なのだ。






どんなに嫌な事が在っても、

ほんの些細な幸せの瞬間が、其れを一瞬で吹き飛ばしてしまうから、

すごく不思議だと思う。

アタシはその一瞬の為に生きているのかもしれない。

永遠に続く一瞬の為に。






アタシがこんな事を真剣に考えている時に、

素敵彼氏のシュウくんは、な、な、なんとっ!!









ほらね?

在りもしないことに疑心暗鬼になって心を動かすのが、

何程クダラナイかって事、わかったでしょ?





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