バカ恋
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■ 大いなる無駄 ■



シュウは大いに不安がっていた。

かつて味わった苦い思いが蘇ったらしい。



俺はあかねを愛してるし裏切ったりしないけど、あかねは?



勿論アタシだって裏切るつもりなど無い。

そんな当たり前の事を不安がっているシュウ。

アタシにとっては取るに足らないような些細な事でも、

シュウにとってはとてつもなく重要な事なのだ。




如何してそんなに不安がるの?アタシはこんなに愛してるんだよ?



愛されてる実感は在ると言う。

アタシが信じられない訳じゃないと言う。

其れでも心の中のモヤモヤが消えなくて、

不安で仕方がないと言う。









シュウの中で何時までも消えない過去の亡霊。

アタシが何かしらのスイッチを押す度に、

こうやって不安だらけの時間を過ごすのだろう。



考え込むだけ無駄なのに・・・

人の形は様々で、誰もが同じ結果を辿る事など有り得ないのに・・・



恐らく、頭では理解しているのだろう。

けど、

心が言う事を聞いてくれないのだろう。






アタシに出来る事は、

シュウの不安材料を取り溢し無く排除する事。

長い時間を掛けて、諦めずにシュウの事を守っていよう。






永い永い沈黙の時間が過ぎ、弐日経った昨日、

シュウはやっとアタシを力強く抱きしめた。






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