バカ恋
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■ アイシテルの先に在るモノ ■



何時に無く神妙な顔でシュウが悩んでいた。

今度は何さ と自棄に冷ややかに聞いてみた。

今までのパターンを考えれば、大体、

アタシが何かをやらかしたか、或いは仕事の事か、

はたまた、彼の家のゴタゴタか、そんなようなとこだ。

だから、

何で悩んでるか判る? とシュウが言った時、

アタシは何の迷いも無く、其の三つを挙げた。

けど、

シュウは其の三つの答えには首を横に振り、

俺が悩んでいるのはスーちゃんの事だよ と言った。







アタシはシュウの言葉に愕然として、

とうとうこの時が来たのだと、猛烈な悲しみに包まれた。



やはり自分の子供とは違うのだろう。

やはり受け入れるのは難しいのだろう。



スーさんについてしきりに悩むシュウを見て、

アタシははっきりと思い出した。

子供の事を受け入れられなかった男達の事を・・・。

『シュウだけは違う』 そう勝手に決め付けたアタシの思いが、

音も無く崩れ去り、アタシは一体何を信じればいいのだろうと、

また勝手に落ち込んでシュウを困惑させた。







シュウは続けてこう言った。















は?








何だ其れ。

其の事でキミは頭を悩ませていたのかい?

アタシったらうっかりうっかりちゃっかり。



シュウ曰く、

そうすれば、自分自身の管理も出来ると思うし、

いろんな意味で大人になれると思うんだよね。

今までは周りの人が手を差し伸べてくれてたから、

随分とわがままに甘やかされて育ってきたでしょ?

来年はもう六年生なんだから、もう少ししっかりしないと!




アタシはシュウの話を聞きながら、愚かな自分を痛感した。

シュウを年下の若造と甘く見ていたのはアタシかもしれない。

シュウを家族として考えていなかったのはアタシかもしれない。

シュウはアタシが思っている以上に、

ずっとずっとアタシ達の事を考えていてくれた事に、

凄く驚いたし、また、改めて感謝もした。






シュウは眩しいくらいの笑顔で話を続け、

スーさんの事から、アタシ達の此れからの生活にまで及んだ。



二人の収入を合わせたら、結構な金額になるから、

生活費を除いた分を貯金をして、

あ、毎月壱拾万は貯金するつもりだからね。

で、其の中から旅行に行ったりするんだ。

一年に壱度は海外旅行に行きたいな。うん。

それからそれから、子供が出来たら・・・・




夢見たいな話だなって思ったけど、

シュウと一緒なら、其れも夢じゃないような気がしたよ。





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