バカ恋
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■ 激昂クヲンタイヅ ■





昨日、七人も子供を出産した夢を見た。




賑やかな家庭の中は、子供達の声で溢れていて、

リビングには、とても大きなテーブルがあって、

其のテーブルを囲むように、子供達が座っていた。

アタシは、忙しく朝食の準備に追われていて、

まだ小さな男の子と女の子が、

アタシの足元に来ては、じゃれて遊んでいた。

シュウはテーブルの一番正面に座って、

新聞かなんかを読んでた。

一番末っ子の息子にアタシが


シュウくんに珈琲飲むかどうか聞いてきて


って言ったら、末息子は


パパなのにシュウくんってよぶのおかちぃね☆


って笑って言った。

アタシも そうだね って一緒に笑った。





夢の中でアタシは幸せだった。




++++++++++++++++++++++++++++++




愛する男の子供を子宮に宿し、

産み、育てたいと願うのは、

女として当然の願望であり、

其の願いが叶った時に、至福の喜びを感じるんだろう。



いつか、シュウの子供を産みたい。

其れがアタシのささやかな願い。

今はまだ夢みたいな話だけど。



産婦人科に行って、診察を待つ間、

どうしても大きなおなかの妊婦さんに目が行ってしまう。

羨ましくて仕方がない。

そして、違う理由で其処に座っている自分が、

哀れに思えてくる。

だからいつも、なるべく端っこのほうで小さくなって座ってる。


あかねの身体の事を考えれば、

子供は諦めたほうがいいんじゃないかと思う



切羽詰った顔でシュウがこう言った時、

アタシは全ての希望が絶たれた気がして、









子供を産めないアタシなら、

いっそ全部なくしたほうがマシだと本気で思った。

シュウが言った言葉は、

アタシの事を一番に考えての結果だってことくらい判ってるけど、

アタシにとって其れは、

女として生きられないのと同じだ。




結局、此れからの事は誰にも何も判らないけれど、

アタシはこのちっぽけでささやかな夢を、

諦めきれずにいる。



きっと、ずっと。




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