バカ恋
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■ 生きるも死ぬも ■



生きている間、少しずつちょっとずつ、

傷つく事は増えていくんだろ。

反面、幸せだって感じるんだろ。

嬉しかったり、悲しかったり、

切なかったり、喜んだり。

命ある限り、其れは続くんだろ。




何処かで誰かを傷つけて、今、生きているって事忘れてた。

自分の幸せを手に入れる為に、

例えばスーさんを、例えば両親を、例えば別れた夫を男を。

けど、

其処まで考えるのは、きっと傲慢すぎる。

此れまでアタシのしてきた事は、

アタシにとって必然であり当然であり、

譬え其れが、誰かを傷つける事だとしても、

アタシはきっと迷わず生きて行くだろう。

そして、ひっそりと「ごめんね」って心の中で謝るんだろ。




昨日、仕事帰りに別れた男が乗っていたのと同じ車を見た。




アタシにとって彼は過去の人間であり、

彼にとってアタシも過去の人間だ。

だからと云って、記憶の全てを削除する事など不可能で、

アタシはまた似た車を見るたびに思い出すんだろ。




弱っちい彼が最後に見せた強引なまでの強さ。

けれどアタシは、

しがみ付く彼の其の手を振り払った。

アタシが其処まで冷酷になれたのは、

きっと本気で彼を愛してたからだと思う。

アタシの為に、彼の為に、

生温い余韻など残しておくほうが残酷だ。




元気ですか?

ちゃんと生きてますか?

自分を愛してあげてますか?




彼が幸せに生きていてくれる事を切実に願うのは、

アタシ自身の罪の意識からだろ。








彼の母親から電話が来た時、

「やっぱりな」って心の何処かで思ってた。

今のアタシは、彼の為に泣くことなんて出来ない。

出来ないと云うよりも、しない。

ましてや、昔みたいに彼を励ます気など毛頭無い。

彼の為にアタシが出来る事など何も無い。

ただ、この世のあらゆる全てからアタシの気配を消すだけ。






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