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2002年11月26日(火)バカな男が好きです

今日はキャラメルボックスクリスマス公演、「裏切り御免!」を見に行きました。
とてもよかったです。はい。えと、私感想を書くのが苦手なのでまた落ち着いてからにします(笑)。いやはや、私は淋しいやつです(そこに辿り着きすぎ)


遠野君はなんていうか。
「ねーねー、実は前から気になってたんだけどさー」
バカ、っていうか。
「なに」
「七実ちゃんオレの誕生日忘れてるでしょー」
大バカっていうか。
「はい?」
「俺期待してたのにー」
「何言ってんの」
とにかくものすごく、バカで。
「誕生日ー」
「あのさあ遠野君」
「ん?」
「あなた家庭教師なんだから」
「そだよ」
「ちゃんと勉強教えてよ」
でも勉強はものすごくおできになる、私より3つ年上の大学生。
「しょうがないなー、どこわかんないの?」
「ここ」
「えー、どれ?」
そう言って参考書のページをめくる長い指。
ちょっと真剣な顔は相当かっこいいのに。
なんでこんなに。
「あ、これおれもわからん」
バカなんだろうか。
「えー?」
「嘘うそ。俺、頭いいのよ」
「頭はね」
「うわ、なんか傷付くわその言い方」
なんで女ことばになっちゃうのそこで。
気持ち悪いよ、遠野君。
今ちょっと、かっこいいって思ってたところだったのに。
「まぁいいか。ここはね、こーすんだよ」
といってするりと難題を解く。
綺麗な文字が私のノートに並ぶ。
こんなノートが、もう何冊もうちにある。
「ね。いっこ教えたからさっきの質問に答えてください」
「え、なにそんなになんか欲しかったの? こども…」
「うるさーい! 俺は忘れてたんかって訊いたんや!」
「忘れてなかったよ」
「え」
「でも、別にあげるもの思いつかなかったし」
そういうと、目の前のバカはにやりと、笑った。
「じゃーさ、約束権をいっこちょーだい?」
「なにそれ」
「今からオレの言うこと、いっこだけ、約束して?」
「はぁ?」
「あのねー。七実ちゃんは絶対、俺の大学来てね」
「ちょっと、まだ約束するとか言ってないでしょ」
「来てね」
反論する私のことばを、まったく聞かずに遠野君は笑う。
「…行けたら…」
「絶対」
「だって遠野君の大学ヘンサチ高すぎ! あたしの頭じゃ」
「大丈夫」
「何を根拠に」
「俺がいるからだよーん」
そう言って彼は参考書をぱらぱらめくった。
「ちゃんと家庭教師してないくせに」
「そーじゃなくて」
ふふ、と、彼は意味ありげに笑う。
「俺が行ってる大学だから、七実ちゃん絶対来る」
「は」
「でしょ?」
「な、な、なに」
そして笑ってたはずなのに、いつのまにか真剣な顔で、私の方を見てた。
「照れちゃって」
「照れてないバカーーー!!」
その顔を、気付いたらグーで殴ってた。
「いったー」
なんてバカなんだ。
大バカだ。バカだバカだバカだ。
「最後の一年、楽しい大学生活を送りたいと思っただけだったのにー」
バカ。
あんたはそれで満足できるのか。
「あたしはできない」
「は」
「あたしは一年じゃ満足できない!!」
口走ってしまってから気付く。
何言ってるんだワタシ!
「俺もできないけど、一年じゃ」
わけわからん、と思いながら俯いた私の頭の方から遠野君の声。
「そしたら大学院行くし」
顔を上げたら、そう言って笑ってた。
「バカ」
「おう、バカだよ」
「大バカヤロウ」
バカバカバカ。
「でもバカがスキなんデショ」
「は」
「俺知ってるー。っていうか聞いちゃったー。電話で友達と話してるのー」
なに、いつの話だ。
あ、しまったきのうだー!
きのう電話してて、間違いなく話題にのぼっていたのは、遠野君だ。
何故か来たんだよきのうも遠野君授業の日じゃないのに。
「ね、七実ちゃん。正直になりましょうよ。ここのバカは君のことが好きだけどー」
「あ、あたしは別に!!」
「別に?」
「大人の顔すんなよバカー!」
気付けば、またグーで殴ってた。
あたし、こんなで女の子として大丈夫でしょうか?
「わかったちょっと問いただしすぎた。じゃあまた来週。とりあえずここのページやっといてね」
するとさっきは笑ってた遠野君がいきなりマジメな顔で立ち上がった。
怒った?
怒るよねこんなかわいくなくて暴力的なやつ。
「なんちゃってー、焦った?」
ちょっと落ち込んだら、かなり上の方から声が降ってきた。
床に座ってる私、立っている遠野君。その差およそ1メートル。
「焦ってないもん、バカ遠野」
「でも好きでしょ?」
「好きだよー!」
叫んだら。
よくできましたー、って言って、彼はそのまま帰っていった。

それだけかよバカー。




…はははは…。バカ話ー。
バカなやつを書いてみたかったんですよ。私、どうやらバカな男かなり好きみたいなので。
多分。
失敗してしまったようですが(爆)
コメディータッチでこんばんはって感じで逃げ。
オヤスミナサイ。


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