| 2007年06月20日(水) |
日本の銀行が信頼されない理由 |
「 機知とは、洗練された傲慢さのことである 」
アリストテレス ( 古代ギリシャの哲学者 )
Wit is cultured insolence.
Aristoteles
前回が ソクラテス だったので、今回は アリストテレス から引用した。
彼らの遺した言葉を知ると、古代から人間は同じだということがわかる。
冒頭の言葉にある通り、なんだか立派そうにみえるけど、実際のところは、単なる 「 カッコつけただけの茶番 」 を平気で行う人がいる。
また、社会が混乱に陥り、民衆が不安がっているときに、親身になって助けたり解決する能力も意思もないくせに、偽りの正義漢ぶりを示す輩もいる。
現在、国民の多くは 「 年金問題 」 への不安を抱えており、内閣は対策に追われているが、混乱に乗じて票を伸ばそうとする野党もその一例だ。
ただ、与党の政局運営を監視し、失策を追及することも彼らの使命なので、効果的な対策を提起できない無能さは別として、彼らの立場は理解できる。
もっと 「 姑息 」 なのは、まるで政治になど関係のない民間の営利組織が、国家的非常時を逆手に取り、自らの利益や宣伝に悪用することだ。
三井住友銀行は、口座開設者の過去10年分の引き落とし記録を保存しており、要請があれば1ヶ月分につき525円の手数料で証明書を発行する。
社会保険庁で年金の納付記録が見つからない場合、記帳の済んだ通帳を提示すれば納付を証明できるが、古い通帳は廃棄されていることが多い。
そういったケースでも、引き落とし記録の証明書さえあれば、口座から国民年金保険料が引き落とされたことの証明になるので、利用者は安心だ。
同行では、顧客保護の観点から、国民年金に加入している口座保有者にかぎり、通常は525円かかる証明書を無料で発行し始めた。
現在、同行は全国銀行協会の会長行を努めているので、他の金融機関にも影響を与えることは確実で、他の主力行も無料発行を検討している。
この件だけを取り上げれば、なんとなく 「 人助け 」 のように見えなくもないけれど、彼らの果たすべき社会的責任は、もっと別のところにある。
彼らは、この日記でも繰り返し書いたが、未曾有の高利益を計上しながら、過去の取り決めによって所得税を支払わず、今後も支払う意志がない。
世間には声高に 「 護憲 」 を主張する人も多いが、憲法に謳われた国民の三大義務のひとつである 「 納税の義務 」 を、日本の銀行は履行しない。
しかも、ゼロ金利政策などで稼いだ利益を、我々預金者に還元せず、雀の涙ほどの利息しか支払わないのだから、姑息というより 「 詐欺 」 に近い。
そのうえ生意気に、利益が出たからといって、政治献金を再開しようとして安部総理から止められ、たしなめられたり、その身勝手さは目に余る。
今回の 「 無料発行 」 も、多方面から浴びせられた非難や、悪印象を払拭するための目くらまし的な 「 イメージ戦略 」 としか思えない。
仮に、百歩譲って 「 本気で社会貢献がしたい 」 という真摯な意思があったとしても、人様に善行を施す前に、彼らにはやるべきことがある。
まず、国民に負担を強いた 「 公的資金 」 を完全返済し、預金者に利益を還元し、きちんと納税を行うことが彼らの使命であり、優先順位が高い。
三井住友銀行の措置を 「 善行 」 と称えることは、お金に困っているからと言われ貸してあげた友人が、他人に寄付する姿を誉めることに等しい。
他人を踏み台にして、自分だけがいいカッコをする姿勢に、もう少し国民は明確に怒りを示したほうがよいのではないだろうか。
世界最大規模の市場調査会社 ニールセン・カンパニー は、世界46カ国の消費者2万5千人を対象に、「 銀行サービスの利用動向調査 」 を行った。
その結果、「 メインバンクへのロイヤリティ ( 忠誠心、思い入れ ) が高い 」 と答えた人の割合が、日本は12%にすぎず、46ヶ国中で最低だった。
最近の銀行界では、顧客のロイヤリティがマーケティングの重要な尺度だとみなされており、フランス54%、アメリカ51%、イギリス49%と順に高い。
この結果が示す通り、諸外国の銀行は日本と違って 「 うわべだけの体裁で国民を裏切る 」 ような真似はせず、国民と共に歩んで利益を出している。
日本の場合は、たまたまメインバンクにしているケースが大半で、「 どうでもいい、どこでも大差ない 」 と評価の低いことが、この結果に現れている。
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