「 一般論で言うと、もしお客がいい経験をすれば、3人にその話をする。
悪い経験をすれば、10人に話すだろう 」
リージス・マッケンナ ( アメリカ IT業界の企業家 )
A rule of thumb. If a customer has a good experience, he'll tell three other people. If he has a bad experience, he'll tell ten other people.
Regis McKenna
文中の [ rule of thumb ] は、「 親指の物差し 」 のことである。
日常的に、「 経験的にまず間違いのないこと 」 といった意味で使われる。
この慣用句には、親指を メジャー に見立てて長さを測る例えだという説もあれば、親指を ビール に浸けて温度を測る例えという説もあるらしい。
いづれにせよ、「 おおまかに言えば 」 だとか、「 まず間違いなく 」 といった感じで、英米人が 「 一般論 」 を語るときによく使う言い回しである。
冒頭の句では、「 消費者の評判 」 を題材にして、それが良い場合と、悪い場合で、その後の ビジネス に大きな影響があることを示唆している。
企業にとって 「 評判が悪い 」 なんてことは死活問題であって、たとえ一度でも評判を落としてしまうと、信頼を回復する作業は至難の技となる。
特に、消費者が 「 安全性 」 に関する不安を抱いた場合の影響は深刻で、最近の例でいうと、食品メーカーによる賞味期限偽装などが挙げられる。
20日、那覇空港に着陸した 中華航空 ( チャイナエアライン ) 120便 が、駐機場に移動して停止後、右主翼下のエンジンが爆発、機体が炎上した。
事故原因は未だ不明だが、着陸後にエンジン後方から燃料が漏れているのを整備士が目撃しており、整備不良の可能性があるようだ。
幸い、日本人乗客23人を含む乗客157人と乗員8人の全員が、脱出用の装置を使用して避難し無事だったが、あわや大惨事となる危険もあった。
航空機の事故率は、鉄道や自動車などに比べると低いのだが、もし事故に至った場合は 「 致死率 」 が高いので、利用を不安視する人も多い。
中華航空 は同業他社に比べ、過去においても事故や故障の頻度が高く、今回の事故によって、ますます利用者の不安が増すことは明らかだろう。
事故やら不祥事の多い 「 ダメ な会社 」 というのは、“ 一般論 ” で言うと、どこか緊張感に欠ける部分や、非常識な部分があったりするものだ。
以前、JR 西日本 が 「 福知山線 脱線事故 」 を起こした後、磁気カード の不具合があったので窓口に申し出たが、その対応はとても悪かった。
それは、直接的に運行と関わり無い部署の問題だが、おざなりで不誠実な対応が罷り通ると勘違いしているところに、企業体質の劣悪さを感じた。
事故に至った経緯は様々だと思うが、基本的に、顧客を大事にする企業は事故が少なく、万が一、起きたとしても満足度の高い対応をするものだ。
中には優秀な従業員もいるのだろうが、仕事に対する姿勢が悪かったり、嫌々ながら働く一部の従業員が、そこを 「 ダメ な会社 」 にしてしまう。
これが、競争相手の多い消費財メーカーなどであれば、評判が悪いと他社に乗り換えられてしまうので、それなりに反省し、努力する可能性が高い。
しかし、航空、鉄道などの公共交通機関は、代替する競合企業が無かったり、少なかったりするために、自浄機能が働き難いので困ったものだ。
台湾との行き来が多い ビジネスマン などは、たとえ不安でも 中華航空 を利用せざるを得ない場面があり、まことに気の毒な話である。
技術的な面はもとより、利用者を大切に想って、信頼を裏切らない姿勢を全社員に徹底し、「 生命を預かる 」 ことへの緊張感を促してほしい。
時間は掛かるだろうが、「 取り返しのつかない事態 」 を再発させないように、社員一丸となって信頼の回復に努めてもらうしかない。
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