| 2007年11月03日(土) |
連立の餌に寝返る 小沢 代表 |
「 二人の男が同じ仕事をして、四六時中、意気投合しているとすれば、
一人は不要なのだ。
逆に、四六時中、張り合っているようなら、二人とも不要である 」
ダリル・フランシス・ザナック ( アメリカの映画プロデューサー )
If two men on the same job agree all the time, then one is useless. If they disagree all the time, then both are useless.
Darryl Francis Zanuck
組織の発展は、絶対服従型の 「 イエスマン 」 ばかりで成し得ない。
かといって、ことごとく決定に反撥する 「 ヘンコツ者 」 ばかりでも困る。
必ずしも大多数の意見が正しいわけでなく、少数派が不利な立場に置かれる可能性を思えば、民主主義が最も優れた政治形態とはかぎらない。
ただ、選挙などにおいて、有権者の意志を公正に示せることで、少なくとも民意は反映されるし、その意に反した独裁者の暴走は食い止められる。
問題は、有権者にとっての 「 選択肢 」 があるかどうかで、それが無い状態では、公正な選挙制度が敷かれていても、まるで効果が発揮されない。
民主主義を名乗る国家でも、一党支配では有権者の選択肢がなく、逆に、競合が多すぎると、与党の占める割合が減り、政策行使力が脆弱になる。
そこで、イギリス や、イギリス から独立した国家では、民主主義の本領を発揮する手段として、伝統的に 「 二大政党制 」 が継承され続けている。
イギリス の 保守党 と 労働党、アメリカ の 共和党 と民主党、カナダ では 自由党 と 保守党 などが、二大政党制の代表格として知られている。
もう少し正確に言うならば、これらは 「 保守二大政党制 」 と呼ばれるもので、社会主義や共産主義などとの、本格的な思想の対立は含まれない。
両者間の政策的距離は小さく、どちらが政権を執っても国民生活に大きな変化は現れないため、有権者は自由に安心して支持政党を選択できる。
昭和20〜50年代、日本では 自民党 と 社会党 が対峙してきたが、いまの 自民党 と 民主党 のほうが、保守二大政党制と呼ぶに相応しいだろう。
さほど差の無い二者択一でも、競合の存在そのものが危機意識と緊張を高め、互いの切磋琢磨と自浄に作用するので、それなりの効果はある。
衆院で与党が、参院で野党が大勢を占める現在、「 ねじれ国会 」 を打破する目的で、自民党 から 民主党 に 「 大連立案 」 が示された。
結果的には、小沢 代表 が党首対談の席上で受けた打診を 民主党 本部 に持ち帰り、党の役員会で協議したが反対意見が多く、ご破算となった。
ここで着目すべき点は、小沢 氏 が 「 一度、党内に持ち帰った 」 というところで、彼自身の 「 即答 」 ではなかったという事実である。
二大政党制の利点や、健全性を重視するならば、党内に持ち帰ることなく反対の意思表示をしたはずだが、彼の行動は、その通りでなかった。
民主党 からは、「 国民に説明がつかない 」 などと、連立や、政策協議への反対意見が示されたが、小沢 氏 には別の思惑があった可能性も高い。
自民党 が、二大政党制を否定する大連立を 「 本気 」 で考えていたのか、また、その考えを 民主党 が呑むと思ったのか、どうも腑に落ちない。
この件について 自民党 は、民主党 が賛成しないことを承知の上で、別の目的があって投げかけたのではないかという疑いが強いのである。
その目的とは、「 民主党 の結束度 」 を探り、あわよくば、内部分裂を誘うことではなかったかと思われる。
実際、民主党 の役員会出席者によると、小沢 氏 から冒頭、「 政策協議に入っていいんじゃないか 」 という、賛意ともとれる発言があったそうだ。
その提案に反対意見が相次ぎ噴出し、最終的には役員全員が反対したというのだから、今後、小沢 氏 の統率力に、微妙な影を落とすこととなった。
前回の参院選で圧勝し、優勢と言われる 民主党 だが、次回の衆院選にも勝てる保証はないし、勝ったところで、その支持が長く続くとはかぎらない。
むしろ、実務面で不慣れな 民主党 議員 が、折りしも問題が山積している国政を引き受け、大失態の末に早期退陣を迫られる可能性も高い。
ベテラン の 小沢 氏 が、そのあたりの利害も視野に入れ、大連立を前向きに検討する一方で、経験の浅い若手との確執があったことも考えられる。
いづれにせよ、青臭い言い方だが、政治は 「 当事者の損得勘定 」 でなく、国民のための政治であってほしいものだ。
国会の空転を連立で乗り切ることより、多少の時間は掛かっても、成熟した二大政党制を確立することのほうが、国家の将来には有益となるだろう。
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