Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2008年01月10日(木) 西村 真悟 議員 の手記



「 死ぬ日になってわかること、それは、どうやって死んでいくかです 」

                   キャサリン・A・ポーター ( アメリカの作家 )

You learn something the day you die. You learn how to die.

                              Katherine A. Porter



身勝手な自殺者に対して、「 ご冥福 」 など祈る気持ちは毛頭ない。

ただ、その周囲で悲しみにくれる方々のご不幸には、同情を禁じえない。


西村 真悟 衆院議員 の長男が、赤坂議員宿舎20階の部屋から飛び降り、駆けつけた救急隊員らによる救命活動もむなしく、間もなく死亡した。

天気予報とは違い、「 悪い予感 」 なんてのは当たらぬほうがよいのだが、二日前に私の書いた日記が、この事件では、現実のものとなったようだ。

当該の日記 『 品川の包丁少年 』 の後半、私は、“ 自信を喪失する覚悟 ” がなければ、精神科の治療が逆効果になる危険を指摘している。

事件後に発表された 西村 議員 の手記によると、長男は前日に精神科の治療を受け、「 強いウツ状態 」 と診断された直後の自殺だったという。

大半の人間は、「 自分は優秀である 」 と思い込みたい性質を持っており、医師から 「 あなたは精神病です 」 と告げられたら、当然、衝撃は大きい。


自殺した息子のことは知らないが、父親の 西村 議員 は、民主党 ( 現在は離党し、無所属 ) の議員に珍しく、気骨のある人物と評価していた。

今日の手記でも、深い悲しみのさなか、救急隊員、病院関係者の救命措置に対する感謝や、自殺を止められなかった自責を、気丈に認めている。

周囲の悲しみなど気にも留めず、身勝手に自殺した者を憐れみはしないが、そんな息子の死を 「 自責 」 と受け止める真摯な父親には敬服する。

実際、自殺する危険を予期し、何度も声を掛けたり、家族ぐるみで警戒していたようだが、母親が目を離した数十秒の間に、飛び降りたらしい。

この家族は、その 「 数十秒 」 を悔いながら、重い十字架を背負って生きていくわけで、そんな遺族を責める気持ちなど、誰も持ち合わせないだろう。


逆に、だからこそ、周囲の不幸を鑑みず、自分だけが安楽になろうと図った自殺者を、私は 「 卑怯 」 だと思うし、「 最低のクズ野郎 」 だと思う。

自殺が多いのは 「 政府の責任 」 などと頓珍漢な話を持ち出したり、それを真に受けて 「 対策チーム 」 が編成される点が、私には理解不能だ。

同じ建物 ( 赤坂議員宿舎 ) で、昨年は 松岡 という悪徳大臣も自殺しているが、これも、「 悪事を追求した国の責任 」 だというのか。

受験に失敗した浪人生が自殺したら 「 裏口入学を認めない政府の責任 」 で、失恋して自殺した場合は 「 恋愛指導しない政府の責任 」 なのか。

どうしても国の力で自殺を減らすのであれば、精神病患者、自殺企図者を独房に収監し、24時間体制で永久に監視する以外、方法はない。


政府がどんなに頑張っても、保護者が必死に苦労を重ねても、文字通りに 「 親の心、子知らず 」 で、自殺する連中は勝手に命を絶つ。

この流れを根絶するための、効果的、現実的手段は、学校教育やマスコミなどを通じて、「 自殺は恥 」 という文化を、徹底的に浸透させることだ。

ネガティブな生き方、考え方を 「 個性 」 と認めたり、なんの恥じらいもなく自殺体験を語れる現代世相においては、自殺者が後を絶たない。

過去において自殺を企てたり、これから自殺しようかと考えている御仁は、西村 議員 の手記を、何度も読み返してもらいたい。

たった一人の 「 自分だけが不幸 」 と勘違いした愚か者によって、どれだけ大きな悲しみと、多くの犠牲を撒き散らすものか、そこに真実がある。






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