| 2008年01月21日(月) |
スピリチュアルカウンセラー という名の詐欺師 |
「 人は “ ありえないこと ” を容易に信じるが、
“ ありえそうにないこと ” は決して信じない 」
オスカー・ワイルド ( アイルランドの作家 )
Man can believe the impossible, but man can never believe the improbable.
Oscar Wilde
信心深いとされる欧米人の中にも、宗教に疑問を持つ人は存在する。
そんな人々が遺してきた、伝統的なアメリカンジョークをご紹介しよう。
イエス・キリスト の一行が小さな村にやってくると、そこでは、一人の女性が大勢の村人から石をぶつけられ、怒号を浴びせられている。
弟子の一人が村人に、「 どうしたことか 」 と尋ねると、その女性は罪を犯したので、皆で懲らしめている最中なのだという。
すると キリスト は、「 だったら、石をぶつけても仕方ないが、ただし、一度も罪を犯したことのない者だけが、石をぶつけなさい 」 と民衆に言った。
その言葉に村人たちは戸惑い、徐々に石を投げる者は減り、喧騒と怒号は静寂に変わり、さっきまでの自分の振る舞いを反省する者も現れた。
やがて、石をぶつけているのは キリスト ただ一人だけになった。
敬虔なクリスチャンからすれば、なんとも 「 バチあたり 」 なジョークかもしれないが、まったく信仰心の無い私などには、ずいぶん笑える話だ。
最近、霊感商法などは社会問題化しているが、私からみれば 「 宗教と名のつくものは、ある意味、すべてが詐欺である 」 という概念しかない。
宗教にすがり、救いを求める人は、それぞれに不幸や悲しみを抱えており、その 「 弱み 」 につけこみ金品をせしめる行為は、まさしく詐欺である。
霊感商法が 「 病気が治る魔法の水 」 を 100万円で売る行為と、高僧が 「 戒名 」 を 100万円で授ける行為の、一体、どこが違うのだろうか。
前者は 「 科学的根拠が無いこと 」 を理由に犯罪とみなされるが、後者は、同様の理由を持ちながら、裁かれることがない。
宗教以上に 「 詐欺 」 だと感じるのは、占い師や、近頃、テレビによく登場する 「 スピリチュアル・カウンセラー 」 という、霊能師を名乗る連中だ。
興味が無いので滅多に観ないが、ありもしない ( あるとしても、まず証明ができない ) 前世の話などを持ち出し、くだらない与太話を展開している。
テレビ番組では、被験者から直接的に諸費用を徴収していないが、他人の不安感や恐怖心を煽り、それで儲けているのだから 「 卑しい商売 」 だ。
21日、「 放送倫理・番組向上機構 」( BPO ) の放送倫理検証委員会は、番組制作上の倫理違反があったとする意見書をまとめ、フジに手渡した。
内容は、スピリチュアルカウンセラーの 江原 啓之 が、女性出演者が経営する美容院が経営難であるかのように語り、訴えられた事件に起因する。
江原 も問題だが、そういった連中を引き立てるかのごとく、番組に起用するテレビ局側は、この際、大いに反省するべきであろう。
マスコミが、彼らをもてはやす風潮は、「 胡散臭い話に対する警戒心 」 を鈍らせ、多くの人々が霊感商法の被害に遭う危険をも高めている。
将来への不安は、地道な努力を続け、日々、精進することにより、たしかな手応えと共に自信を獲得することで、解消すべき性質のものである。
それなのに、根拠も無く、さも前世の影響を受けているかのように語ったり、そんな与太話に感銘したりする様子を放映するのは、「 文明の恥 」 だ。
知人の外国人は、そんな様子を眺め 「 TAKA、日本ってのは未開の部落だったのか 」 と尋ねてくるが、今は、一緒になって失笑するしか策がない。
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