| 2008年03月05日(水) |
新人に失敗させる度量のある企業 |
「 成功の 99% は、以前の失敗の上に築かれる 」
チャールズ・F・ケッタリング ( アメリカの発明家 )
Ninety-nine percent of success is built on former failure.
Charles F. Kettering
昔から 「 失敗は成功の母 」 などと言うが、まさしく、その通りだと思う。
成功事例より、マイナスの経験から学ぶことのほうが、はるかに大きい。
エジソンは、電球を発明するまでの間に、いろいろな素材を試したが、実に1万回以上も失敗を繰り返したと、記録に記されている。。
そのことを問われると、彼は 「 失敗ではなく、うまくいかない方法を1万通り発見しただけですよ 」 と答えた。
人生で大事なことは、失敗するかどうかよりも 「 失敗から学べるかどうか 」 であって、くじけず、投げ出さず、やり遂げる熱意が成功を生む。
長期戦においては、最初に成功することなど重要ではなく、むしろ、致命的でない失敗なら、最初のうちに何度も体験したほうがよい場合もある。
ましてや、まだ 「 挑戦すらしていない若者 」 の可能性を、出発点の段階で見下し、評価を断定する御仁などは、愚の骨頂と言うべきだろう。
新入社員の 「 質 」 に関して、企業の4割が “ 5年前よりも低下をした ” と感じていることが、日本生命保険のアンケートで明らかになった。
理由 ( 複数回答 ) は、「 コミュニケーション能力・協調性の不足 」 が最も多く、「 向上心・積極性の不足 」、「 忍耐力の不足 」 の順に続いたという。
わからないでもないが、では、「 新入社員の 質 」 を云々する 「 幹部社員の 質 」 や、あるいは、「 その企業全体の 質 」 はどうなのだろうか。
調査は1月に実施し、全国の2669社から回答があったようだが、規模の小さな企業ほど、新人への強い不満が窺えるという。
私からみれば、「 そんな愚痴を言ってるから、その企業は伸びない 」 のではないかと思うわけで、企業自体の体質や考え方を改める必要を感じる。
新入社員にとって最も大切な仕事は 「 仕事を覚えること 」 であって、そのためには、「 失敗をさせ、そこから学ばせること 」 が不可欠となる。
新人に 「 質 」 を問うのは、最初から “ ミス の少ない仕事 ” を期待している表れで、先輩社員の 「 手の内に収まる小物 」 しか育てる気がない。
そこそこの能力の 「 小物 」 を採り、失敗させないように監視し、過保護に育てられたとしても、やはりどこかで失敗し、躓く羽目に遭う。
そんな人物は、失敗から “ 学ぶ ” ことができず、汚点として “ 絶望 ” し、すっかり打ちのめされて、やる気を失くしてしまいやすい。
本気で人を育てる気概のある企業は、「 新人に失敗させる度量 」 を有しているもので、だから、「 新人の “ 質 ” 」 などに大きな関心を寄せていない。
矛盾するようだが、顧問企業の人事をサポートする仕事柄、新人の能力を見極めたり、各企業の好みにあった人材を配置する作業をしている。
おかげさまで、今までに大きなクレームはないが、本音で言うと、それぞれの企業に最適な人材を、紹介できているわけではない。
特に中小企業の場合、「 この会社には、本来、A君のような人材が必要だけれど、B君でないと扱いきれないだろうな 」 という制約が、随所にある。
磨けば光るダイヤの原石より、綺麗なガラス玉を有難がる企業も多いので、我々のような仕事に就く者には、そこが毎年、悩みの種となるのだ。
万人に評価される “ 質 ” の良い新人と、真に価値のある人材が同一とはかぎらないし、望むべき新人を獲得できないのは、企業に問題がある。
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