2008年09月01日(月) |
福田首相辞任 : 風向きは変わるか |
「 物事を成し遂げるための見事な方法以外に、物事をし残すための
見事な方法というものもある。
人生の知恵は、本質的でないものを排除することにある 」
林語堂 ( 中国の作家、言語学者、翻訳家 )
Besides the noble art of getting things done, there is the noble art of leaving things undone. The wisdom of life consists in the elimination of nonessentials.
Lin Yutang
立春から数えて 210日目、9月1日前後のことを 「 二百十日 」 という。
台風襲来の特異日とされ、農家などは “ 三大厄日 ” として警戒する。
二百十日には、富山市の 『 おわら風の盆 』 などをはじめとする風鎮祭が全国的に催され、漁に出る人も少ない。
日本だけでなく、アメリカ も9月1日を [ the great annual September gale ] と呼ぶ風習があり、台風がよく来る日という印象が強いようだ。
風を表す英語は多いが、さわやかな微風は breeze、強く激しい風は gale、突風は gust、さらに強く激しいと blast になる。
気象用語でいうと、時速32〜63マイルの強風が gale で、64マイル以上は storm ( ストーム )、73以上は hurricane ( ハリケーン ) と呼ばれる。
実際のところ、本日、大型の ハリケーン 『 グスタフ 』 が ニューオリンズ に上陸し、ルイジアナ州沿岸部を中心に、強い暴風域へと入った模様だ。
現在、日本付近に台風は発生していないが、「 二百十日 」 の夜になって、永田町では “ ちょっとした突風 ” が吹き荒れたようである。
記者会見で 福田 総理 が突然の 「 辞意 」 を表明し、前任者の 安倍 氏 と同じように、電撃的な退陣となることが明らかにされた。
与党にとって有利か、不利か、これで政局は安定するのか、さらに迷走するのか、いまのところ、すべては 「 流動的 」 というのが、大方の見解だろう。
次期総裁は 麻生 太郎 氏 で決まりそうだが、新鮮味のある 石原 伸晃 氏 あたりを対抗馬に擁立し、総裁選を行えば、けっこう盛り上がるはずだ。
無投票で代表が決まる ( 小沢 一郎 ) 民主党よりも、有権者の興味をひく総裁選を展開することで、与党が次期選挙を有利に戦える可能性もある。
前回の参院選では、「 民主の風 」 なんて言葉も流行ったが、風が国民に便益をもたらしたのか、被害が大きかったのか、まだ答は出ていない。
福田 総理 の電撃辞任も、与党にとって 「 風向きを変える 」 という点では効果的だが、それが国民にとって得なのか、損なのか、それも不明だ。
前述した通り、風にも様々な種類があり、単純に 「 旋風を起こす 」 とか、「 風向きを変える 」 というだけでは、その利害が評価できない。
初夏に吹く、若葉の香りが爽やかな 「 薫風 = a balmy breeze 」 は大歓迎だが、景気を後退させる 「 木枯らし = a cold wintry wind 」 では困る。
厳しい炎天下に 「 無風状態 = a calm 」 も辛いが、とはいえ、自暴自棄に暴風雨を恋焦がれるのも、被害の後始末を思えば、得策ではない。
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