Tonight 今夜の気分
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2008年08月30日(土) グスタフ で甦る 「 3年前の悪夢 」



「 信念は、行動に移さなければ価値がない 」

           トーマス・カーライル ( スコットランドの歴史家、思想家 )

Conviction is worthless unless it is converted into conduct.

                                 Thomas Carlyle



初めての経験に失敗するか、成功するかは、運に依るところが大きい。

二回目以降は、知恵と行動力の差が、成否を分かつものだ。


現在、キューバ西部沖に位置し、米本土へ接近している大型のハリケーン 『 グスタフ 』 は、5段階で2番目に強い 「 カテゴリー4 」 まで発達中だ。

3年前、1800人以上の死者を出したハリケーン 『 カトリーナ 』 の被害を受けている米南部では、早くも 「 非常事態宣言 」 などが出されている。

つい先日、西カリブ諸島に旅行したばかりだが、その折も天候は悪い日が多く、なんとなく 「 不気味な予兆 」 を感じさせる雲行きだった。

グスタフ は、カトリーナ を上回る規模の勢力にまで拡大し、3年前の悪夢を再現する危険があるため、地元の人々は、戦々恐々としているだろう。

いかに科学が進化しようとも、自然の脅威を無力化することはできないが、過去の教訓を活かし、被害を最小限に止める使命が、統治者にはある。


その点、今回はハリケーンの上陸前に非常事態宣言を発令し、強制避難を実施する準備も進められており、直接の人的被害は少なくなるだろう。

ただし、カトリーナ の発生時に問題となった、被災者の 「 経済的負担 」 については、あまり進歩がみられないのも事実である。

医療先進国でありながら、アメリカの低所得者層は健康保険の未加入率が高く、そのため、国民一人当たりの医療コストが極めて高い。

また、賃金を 「 週給 」 で受給している労働者が多いため、平均して蓄えが乏しく、短期間の欠勤で生活が困窮するケースも珍しくない。

とりあえず命拾いしても、医者にかかれなかったり、生活苦から金品の略奪が横行するなどして、健康面、地域の治安面などに不安は尽きないのだ。


大統領選挙が間近に控える現在、ここで壊滅的な被害でも出れば、現政権 ( 共和党 ) にとっては致命的な失点となる。

ブッシュ大統領は、ルイジアナ、テキサス、ミシシッピー、アラバマの広域に非常事態宣言を発し、避難民は100万人を超える見込みだ。

今後、被災地の復旧や、避難民の支援などに、どれだけの配慮が示せるかという点で、次期大統領選挙に絡む政治的手腕を問われるだろう。

3年前の教訓に学び、健康保険の加入率増加や、防災対策を強化しておくべきだったが、「 喉もと過ぎれば熱さ忘れる 」 のも人の常である。

その点、日本はアメリカに比べて、自然災害への備えは出来ているほうで、過去に受けた天災の教訓を、けして無駄にはしていないと評価できる。






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