左近日記
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2002年09月27日(金) 金木犀の香る夜に。

こんばんわ、藤原左近です。



今日は仕事が遅くまで続いて。
くたびれ果てて、帰宅する道中。
同級生から携帯に電話が来ました。
時々連絡してくれる、頼もしい女友達。
カレとのおでぃとの合間を縫って、時折ご飯を食べたりする仲。



開口一番。
「左近、元気?・・・あのね、あたし離婚したわ。」



彼女は早くに嫁いだ。
金木犀がそこいら中に植えられているところ。
けっして都会ではないその地域。
彼女は嫁としてその家に入った。



いろいろな事情は彼女と会うたびに聞いた。



嫁の苦労。



結婚するのがいやになったのは正直な話で。



「・・・でも、旦那さんを好きだから、結婚したんじゃないの?」



あるとき、そんなコトバを彼女に放った。
今思えば残酷な一言だった。



そのコトバを放った瞬間、彼女の顔が微妙に変わった。



ややあって、彼女がぽつりと言った。



「・・・ワタシは《嫁》なんだよ」



そのコトバがどんな意味を持つものなのか。
そのときのワタシにはわからなかった。



彼女の嫁いだところは、恋愛感情よりも違うものが優先するところだった。



子どもを産まずに働き続ける女を認めない場所だった。



・・・一度だけ。
結婚したての彼女の「家」に遊びに行ったことがある。
丁度今頃の季節。
庭にあった大木の金木犀が馥郁たる香りを放つ。



「すごいねぇ。いい匂いだねぇ!」
はしゃぐワタシに彼女は言った。
満面の笑顔で。



「このあたりの家は、みんな金木犀を植えてるんだよ」



香りは夜風に乗って、鼻腔をくすぐる。
「秋が来たんだよ」と、知らせてくれる。



・・・願わくば。
彼女が金木犀の木を、恨まないように。



彼女の前途を導いてくれるように、香ってほしい。



・・・別の同級生から、夕方メールが来た。
「明日は○○の結婚式だけど、呼ばれてる?」



結婚する女。
離婚する女。



彼女の涙とワタシの涙。
すべてを飲み込むように。
今夜も金木犀の香りが漂う。



今宵もご来場いただきまして、誠に有難うございました。
またのお越しをお待ちしております。
藤原左近でございました。



・・・あ、「左近日記別館」、ちらりと更新いたしました。
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