○プラシーヴォ○
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撮影で小道具に使うグラス それを一つ一つ割れないように エアーキャップで包んで行く
机の上の携帯が鳴る
バイブ機能のせいで震えながら 動き回る携帯を上から押さえ、 通話ボタンを押す
「もう9時やぞ。まだ仕事してるんか?」 「うん。もうすぐ出前で頼んだ寿司がくるから、 それ食べたら帰るよ」 「寿司かあ・・・。あ!そうそう、Kくんって覚えてる?」
ビクッ。
コンパで私が一目惚れした人だもの。 忘れるわけないわん。 ・・・なんて言えるはずもなく。
「Kくんがさあ、結婚するんだって」
やだわ、この携帯。混線してるのかしら。 ・・・ってそんなわけないわよね。
「しかも、できちゃった結婚だってえ」
ええええええええええええ!
腰が抜けた。いやマジで。
一時期、ハム男を振り捨てて Kくんへの片思いに生きようと思っていたこともあったが・・・。
彼女がいるなら コンパにくるなよ!
紛らわしいんだよう!
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