○プラシーヴォ○
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嬉しかった。 嬉しかったんだよ。
初めて君から 「会いたい」って連絡をもらえて
バイト先のパン屋さんまで 迎えに行って 僕の車に乗り込んだ時は 何も感じなかった
僕の家について、 テレビを見る。
そしてふと君を見ると、 少し口を笑顔の形にして・・・ でも目は笑ってなくて一点を見つめている。
言いたいことがあるのに 心にためこんでいる時の顔だ。
僕は、君の無言の声が聞こえてしまったのかな。 勝手に、口が言葉を発したんだ。
「がちゃ子、そういえば最近 今生理だからエッチできないよって 言わないね」
顔色が変わるって、こういうことを言うのかって 思ったよ。
本当に,『サッ』って音がするくらい 君の顔が青くなった。
そして小さい声で 「赤ちゃん、できた」って・・・。
「よし、結婚しよう!」
僕のプロポーズに 君は体をカチコチにして答えた。 「今は・・・欲しくない。産みたくない」
君は、なんでも1人で決めてしまうから、 もしかしてこの時も、 もうすでにお腹の中に赤ちゃんはいないんじゃないかとさえ 思ったほどだったよ。
「がちゃ子は、な〜んも心配しなくていいんやで」
って、ぎゅうぎゅうと頭をなでながら 僕達は眠った。
だけど、僕はなにをどうしたらいいのか 全く分らなかった。
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