○プラシーヴォ○
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出会ってから、ハム男は毎晩電話をかけてくる。
あまりにもハム男への愛情を表現しない私を不安に思い、 「毎日電話しないと、がちゃ子、 俺と付き合ってることを 忘れてしまいそうなんだもん」 と言っていた。
昨日の夜、かかってこなかった。 海がよっぽど楽しいのだろう。
付き合ってから、初めてハム男のことが憎いと思った。
憎い。憎い。
子宮をほじくり出された私を置いて海に泳ぎにいき、 安否を尋ねる電話もない。 憎い。憎すぎるよ。
ハム男は優しい。 優しいけど、無神経なんだ。
『手術したばかりの私を置いて 海に行くあなたにがっかりしました。 私は、そんなに頑丈ではありません。』
メール送信。 もしかしたら最後の。
そして 今夜も電話は鳴らなかった。
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