○プラシーヴォ○
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2000年07月31日(月) 自覚

仕事中に移動が少ないパン屋のバイトでよかった
手術後4日目でも働けるんだもん。

バイトが終わり、シャッターを閉め、
反対方向へと帰るバイトの女子大生の子へ手を振る。

さあ、電車乗らなきゃ、と夜の空気を吸いこんだ時・・・
携帯が鳴った。

「がちゃ子・・・?どこにいるの」
「バイトから帰るとこ」
「朝も・・・昼も鳴らしたんだけど」
「気がつかなかった(嘘。本当はわかってた)」
「気をつけて帰れよ。帰ったころに電話するよ」

こんなに弱々しい男の人の声を聞いたのは初めてだった。

家に帰り、夕食をすまして部屋に戻ると電話が鳴った。

「怖かったよ。仕事している間も、ずっと怖かった。
もう2度とがちゃ子に逢えないかと思った。
がちゃ子、辛いとかなんにも言わないから・・・。
俺、甘えててんな。
がちゃ子平気なはず無いのにな。
いっぱいいっぱい、しゃべろうな。
俺も言うから、がちゃ子も、もっとしゃべって。」

そう。私が1ミリも悪くないなんて、嘘。

引きつる笑顔で「楽しんでおいで」と
海へ送り出したのは私。
中絶の手術のことも、まるで虫歯を抜くくらいに
平気そうにしていたのも私。
助けを求めなかったのも私。

なのに

どうして私のことが分らないのと
無茶を言ってたのも私。

ウサギをダンボールで密封しておいて
これはウサギなのにどうしてエサをやらないの
どうして殺してしまったのと
何も知らない周囲の人に
言っているのと同じ。

分からないよね。気持ちなんて、言わなくちゃ分からない。


がちゃ子 |偽写bbs

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