○プラシーヴォ○
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バリから戻って、朝の9時ころ家についた。
そして、すぐ写真を現像に出して youちゃんとお昼にマクドナルドで合流した。
写真を見て、涙をごうごう流して笑った。
エステで撮った花風呂に入っている二人は、 笑い死にさせる武器になるほどおかしかった。
シャワーキャップをかぶって、おやじのように赤い顔をして 耳には一応花をさしているノーメイクの二人。 パンフレットの外人と全然違うや〜ん!
4時ごろになり、youちゃんと別れて家に戻ろうとすると ハム男から電話が鳴った。 「今、サッカー終わった〜。迎えにいくからウチに来る?」 おお〜、行く行く!
ハム男の家で、『グラディエーター』を寝転んで見ていると、 いつの間にかエッチモードに・・・
裸になったところで、ハム男が恐る恐る私に言った 「中に出したら・・・まずい?」
ピルを飲んでもう1年だし、大丈夫! どっちみち、ピルを飲み始めてからコンドームを使ってないんだし、 中で出しても同じことだもんね!
…って言おうと思った。 思ったけど、声が出なかった。 口がパクパクして、瞬きも多くなって、体が硬直した。
頭では、許可してあげたかったのに 心が許さなかった 『もう2度と、望まない妊娠はしたくない』 『私の苦しみを一番近くで見ておいて、よくそんなことが言えるなこの男』
本当のコトバが喉をついて出そうになる。 口を開けない。返事ができない。
「あ・・・嘘だよ。ゴメン」
あやまりながら、ハム男はキスをする。 恐怖と悲しさでカチコチに固まった私の四肢を、割るように押し入ってくる。
普段、セックスの最中は無言のハム男なのに 私の様子が変わってしまったのが不安だったのか、 「俺とガチャ子は、体がピッタリやね」 「気持ちいい?」 などと、私に話しかけつづけた。
私はそれに対し口の端を上げて笑うだけで、終始無言だった。
コトが終わり、二人並んで寝転んだ時、 ハム男がぎゅうぎゅうと頬を私の頬に押しつけてきた。
「がちゃ子、俺、考えが浅くて・・・ゴメン、ゴメン」 「いいよ。もういいから」 ああ、私はこいつに弱いなあと思いつつ
今度言ったら、別れるからね。
と心の中でつけ加えた。
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