○プラシーヴォ○
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なんて言おう。
ハム男から電話がかかってきたら、なんて言おう。
モウ、ワタシノコト、スキジャナイノ? ナンカ、イイタイコト、アルンジャナイノ?
スポーツジムから自転車をこいで帰りながら、 涼やかな夜気を吸いこむ。
今年は陽性の梅雨で、どしゃぶりの日と からっと晴れる日が交互にくるらしい。
家に帰って食事をすまし、MDの電源を入れる。 朝、ラジオから録音した英会話のレッスンが流れる。 15分のその番組を2回聞いたところで電源を切る。 ディスプレイが時計表示になって、 22時30分というデジタル表示が青白く浮かび上がった。
先週の土曜日、11時頃ハム男から電話があって、(私は寝てた) なぜかイライラしていた私は 「私が寝てるときに電話かけないで」 と口調を荒げてしまった。
ハム男は、あきれたようなバカにするような声で 「分かったよ。VIPなんだね、がちゃ子は」 背筋がスッと冷えた。後悔した。
それ以来、22時以降に電話がかかってくることがなくなった。
だから今日もかかってこない。 だけど私からはかけたくない。
ハム男は、決して私から電話をかけないから、 かけてきてくれる。
一度私から電話をしてしまうと ハム男が安心してしまい、 もうかけてきてくれないような気がして恐い。
なんて なんて薄っぺらい恋人だったんだろう。 なんて なんて中身の無い。
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