○プラシーヴォ○
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午前2時51分
ハム男専用の着メロが部屋に鳴り響く
心臓が止まるほど驚いて飛び起き、 暗い部屋をぴかぴか照らしている ディスプレイをひっつかむ
「俺、殺される!」
は?
「今な、オッサン(ハム男の同僚で親友)と ケイスケ(右に同じ)と飲んでてんけどな 急に男がフラっと俺らのテーブルに寄ってきてん」
ふんふん
「オッサンとケイスケには心を開いてたくせに 俺のこと急に『殺したる!』って言って どつかれてん」
…
「店飛び出て逃げてきてんけど、おっかけられてさ〜 今やっと見えなくなったけど どうしよう!」
「…はよ家に帰って、鍵閉めて、寝れば」
「そっかあ、そうしたほうがいいかなあ」
「うん」
「じゃ、今からタクシー乗って 家かえるわ!じゃ、明日迎えに行くからな〜」
電話を切った後、 暗闇の中で交わした会話の恐ろしさに 少しのあいだ震えていたけれど
相変わらず胸をよぎるのは 昨日、故郷から帰ってきたハム男が 私よりも友達との飲み会を優先する悔しさ
会社で毎日会える人たちよりも 私を後回しにする悔しさ
せっかく寝付いたのに また生ぬるい枕の感触をうっとうしく思いながら 羊を数える
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