○プラシーヴォ○
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『月と太陽の性格辞典』 という、私はとてもよく当たってると思う 占いの本で、イケメンくんを占ってあげた。
そうすると、嬉々として自分の2人の息子と 奥さんのことも調べだした。
分かっていたことだから 胸のちくちくは覚悟していたことだから 少し調べにくいその占いの本で 一生懸命私はイケメンくんの家族のことを調べてあげた
はい
と、奥さんのことが書いてあるページを 広げて渡してあげる
それを読むイケメンくんの顔を見たくなくて 慌ててパソコンの画面に目を向けて 売り上げのデータを打ち込むふりをする
ありがとう
と読みながらイケメンくんはとんとん、 と自分の腰をたたく
それが気になって、
・・・腰を押しましょうか?
と言うと、
9月ころになったぎっくり腰が またなりそうな感じなんだ 最近バイク通勤で、冷えたからかなあ
と私の顔を見ながら困ったように笑った
最近、怒りましたか?
東洋医学では ぎっくり腰は急激に怒ったときになりやすいって言われてる
その時、イケメンくんは う〜ん、そうだねえと、言葉を濁してまた笑った
仕事が終わる時間が近づいてきて
帰る前に、ツボをおしてあげますよ
と言うと、すっごく嬉しそうに イケメンくんが私の目の前に座る
お互い、膝を突き合わせて向かい合って椅子に座って、 前かがみになる
ぎっくり腰は、安静第一 腰そのものを押すと悪化するから 遠いツボを押してあげる
そうっとイケメンくんの大きな手を両手で包んで、 手の甲の腰のツボをゆっくり両手の親指で 指圧する
ああ、腰にきた
と、 下を向いたままうなるイケメンくん
そして
おふくろに・・・キツイこと言ってしまって・・・ いや、言い切れてなくてたまってる部分もあるけど でも、きついことを、言ってしまった
と、急に、今まで聞いた事の無い低い声で ぽつぽつと話してくれた
そうですか・・・ 怒るとぎっくり腰になりやすいですからね・・・
と、その時 私のお腹の底から
癒したい
という欲求が沸いてきた
神様どうか、この人を癒す力を下さい
もう1人のスタッフちゃんみたいに イケメンくんを大笑いさせてはあげられないけど
どうかどうか、 私の手の平から元気がいっぱい流れ込みますように
口ベタな私は こんなことしかできなくて なかなか手が離れない
最後にぎうっと手を握って
無理を、しないで 明日もつらかったら言ってください
ありがとう
帰りの電車の中でまた泣けてきた
奥さんと子供さんを愛しているイケメンくんに いろんな焼きもちをやく私は すっとこどっこいで もうどうしたらいいのか分からなくて
もしかしたら 奥さんとうまくいっていないかも
なんて卑屈な妄想をしている私は 今日こてんぱんにやられた
苦しいけど、 それよりも苦しそうなイケメンくんを 癒したい
神様神様 あの人は今、少しは楽になってますか?
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