○プラシーヴォ○
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2005年04月09日(土) 撃ち殺して

今日、仕事が終わってからイケメンくんと
スタッフちゃん(新人の女の子)と職場の近くの
小さな公園でお花見をした。


今日、仕事がなにしろ忙しく
いまいち盛り上がりに欠ける3人。


それでも気がつけば夜中の0時を過ぎていて、
私はもともと職場の近くに住んでいるスタッフちゃんの
家に泊めてもらうことにしていた。


イケメンくんはバイクで来ていたので
酔いをさますため、少しスタッフちゃんの家で
お茶でも飲んでいくことにした


この時点で私は
職場で寝泊りすればよかったんだ


家に帰るなり


『楽な部屋着に着替えますう〜』

と言って、タンクトップと
薄いジャージ素材のほとんどボクサーパンツみたいな形の
短パンに履き替えた



イケメンくんが


『おじさんには目の毒だ』

と苦笑いする



イケメンくんは、天然ボケのスタッフちゃんを
すんごく可愛がっていて
それを分かってるスタッフちゃんも
すんごくイケメンくんに甘える



もうこんなの見てられない、
と早々に私は布団をかぶった



でも、2人の他愛のない会話が耳について
目はさえるばかり




『最近太っちゃって〜 ほら、おなか触ってくださいよ〜』

『ほんまやなあ 俺のもさわってみい
 最近中年太りがでてきて・・・』





1時間くらい、そんな感じで会話が続いていたが、
イケメンくんが仮眠を取ってから帰ることにしたらしく、
テレビと電気が消える気配がした。


ずっと2人に背を向けて寝ていた私は
そっと首を後ろにむける


壁にぴったりくっつくように
仰向けで片膝を立ててぐうぐう寝ているイケメンくんの
脇のあたりに、スタッフちゃんが
これまたぴったり寄り添って寝ている





いやだ




こんなの、本当にいや




頭がぐるぐる回る


どうしようどうしよう
本当に本当に、いやなんだよ


二人が寄り添って寝てるなんて
一番見たくなかった景色



神様どうか、
今すぐ私をこの空間から切り離して
ブラックホールに捨ててください

神様どうか
私を真空パックみたいになにかで包んで
外のことが見えないようにしてください




世の中、自分にとって悪いだけのことって起きないと思ってる
絶対何か意味があることなんだと



じゃあこれは何?

神様私はこれから何を学べばいいんですか?






甘え上手な人が、楽しく生きていけるということですか?

妻子持ちの男性を好きになったって、
これ以上に苦しくてむなしいことが続くだけだと、いうことですか?



そんなの分かってる
いちいち見せてくれなくったっていい


こんなに惨めで苦しい空間に、これ以上いられない




ああ、そうだ、と
私は汗びっしょりのおでこを布団から出した



神様に頼まなくったって
私が、自分で、この足で、出ていけばいいんだ





『夜中目が覚めて、もうなんか眠れなくって
 職場の近くの24時間銭湯に行っちゃった〜』


って笑って明日言えば、済むことだ



そうだ、どうして気づかなかったんだろう
もう耐えられない



ゆっくりと布団から身体を起こして改めて
2人を見る


布団は私が一人占めしていて、
2人はフローリングの上に後から置かれた一畳の畳の上に
布団もなにもかけずによりそって寝ている。


寒そうに縮こまる2人が憎たらしいけど
可哀想で、今まで私がかぶっていた
ふかふかの羽根布団を、
2人にそうっとかぶせる。


と、その瞬間イケメンくんが目を覚ました。
顔を横に向けて、
今まで私がいた枕に誰も寝ていないのを見て身体を半分起こした


『あ、・・・あれ?がちゃ子さんは?
 がちゃ子さんがいない、がちゃ子さんどこいったの?
 がちゃ子さん?』



何回呼ぶねん!

と、2人の足元に座っていた私は少し笑ってしまう


『ああ、がちゃ子さん
 俺、寝てしまった
 俺外に出たら、がちゃ子さん鍵を中から閉めてくれる?』


と、眠そうな目をこすりながら
玄関の方へ歩いていくイケメンくん


私が出て行くつもりだったのに、
あっさりと苦しい時間が終わってしまった


その後、すこしスタッフちゃんと話をする



イケメンくんはもともと自分で事業をしていて
そのオプションというか事業展開を広げるために
勉強として今の私たちの職場にいるので、
仕事のノウハウとかが分かったら
きっとすぐに辞めていってしまうね


『辞めるなら、早く辞めて欲しいです
 本気で好きになったりしたら、苦しいもん』

と、笑うスタッフちゃん





『私もう、すんごく苦しいよ
 もう本当にやだよこんな、むなしいの
 本当に、もう好きだもん』



と、私が言うと、黙り込んでしまった。


スタッフちゃんも酔っ払っていて
この私の告白を覚えているかどうか分からないけれど
言えてすっきり。

そのまま私たちはいつの間にか眠っていた。


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