○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
あなたの全部が好き
あなたはきっと あの子のことが好きで
でもこの時点で
『ちくしょう』って思うなら
それはもうすでに 貴方のことを好きではないんだろう
全部ひっくるめて大丈夫…??かな 胸がちくちくするけど
やっぱり好き
何をしても好き
何を言っても、好き
よかった貴方に会えて
奇跡だ
『イルカ』
いつもいつも 私が何度も聞きなおさなくては 会話が成立しないほど言葉が少ない貴方は
やっぱりポソリとつぶやいただけで 親指ほどの小さなイルカの人形を私に見せた
カシャンカシャン、と机の引き出しにイルカを ひっつけてみせる マグネットがついてるんだねえ
あなたがあまりこの人形に興味がなさそうなのをいいことに こっそりこれを私の机の上に置いて 私とあなたの間にあるプリンターの端っこから そうっとイルカの顔だけを覗かせてみる
私の向かいに座っている女性の先輩が
『それ、イルカちゃん、何?』
『イルカです こうやって、そうっと山さんを見てるんです』
そこでイルカを取られたことを 初めて気づいた山さんは ふふっと笑って、また何事もなかったように 仕事を始めた
このイルカは、私です
|