○プラシーヴォ○
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山さんはまるで子供のように
職場で、大好きなあの子にちょっかいを出す
山さんがあの子を好きなのは 公認で、 でもあの子はシラっと何もないように 山さんをかわし続けている
職場で唯一の独身男性の山さんは いつも女性陣の噂話のネタにされてて
『独身だから、チヤホヤされるだけであって そんなに格好よくはないわよねえ』
なんて言われてる
確かに、男前ではないの
猫背だし、ぼっちゃん刈りだし
私と同期で入った派遣の女の子も
『山さんだけはありえない』
それにあわせて私も 好きじゃないふりをしていた
でももうとうとう
胸が痛くて
苦しくて
嘘をつく意味が分からなくなって
同期に子にだけ こっそり打ち明けた
『ずっと黙ってたけど 私、山さんが好きなの』
同期の子は一瞬言葉を失い、 カフェのソファーにどさりと背をもたせ 目をまん丸にしていた
『…いつから?』
『わりと、最初から』
『がちゃさんだけは、山さんを好きにならないと思ってた』
好きになっちゃいました
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