私が日記を書かなくなったのはいつのことだっただろうか? 私が日記を書き始めたのはいつのことだっただろうか?
いつの頃からか私は日記を書き始めていた。 最初は毎日のことではなかったのに いつの間にか毎日書いていた。
初めは本当に他愛もないことだった。 学校であったこと、見たテレビのこと…。
いつの間にか書く内容は変化した。 今思えば、それが私の世界の中心が変わった瞬間だったのだろう。
楽しかったこと 悲しかったこと 切なかったこと 苦しかったこと…
全てを私は日記に書いていた気がする。
文字にして残すということは 記録に残ると同時に記憶に残ることである。
それがよいことであり、悪いことであると気が付いたのは 随分とたってからのことだった。
人間には忘れるという素晴らしいシステムが搭載されている。 忘れることで前に進むことが出来るし 生きていける、そんな気がする。
普段、自分の感情を人に言うことが出来ない私にとって 日記は感情の捌け口となっていた。 日記に感情をぶちまけることで楽になれると思っていた。 日記は自分の話し相手だったのかもしれない。
でも、 日記にしてしまうと忘れることができないのだ、と。 気が付いてしまった。
それでも私は 振り返ってはいけない【遺品】を作り続けた。 それ以外に自分の感情を片付ける術を知らなかった。
今でもその術を私は見つけていない。 だけど、いつまでも殻に閉じこもるわけにはいかない。
いつか、飛び立たなければならない。 いつか、自分の感情を人にあてることが出来るだろうか?
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