感想メモ

2003年01月10日(金) バックスキンの少女  ドロシー・ギルマン

柳沢由実子訳 集英社文庫 (1956)2002

STORY:
舞台は開拓時代のアメリカ(多分)。インディアンと白人の戦いが繰り広げられている頃。ベッキーは幼い頃インディアンに襲われ、両親を殺される。兄はインディアンに捕らえられてしまい、インディアンに育てられる。ベッキーは丁稚奉公としてレゲット家で住み込みで働いていたが、ある日、残忍そうな金持ちの男に結婚を申し込まれる。結婚がいやなベッキーは兄とともに未開の土地へと逃げることを決心し、そこで新しい生活を始めるが・・・。

感想:
 読み終わって気づいたけれど、1956年の作品なのか・・・。ものすごい古い作品だったのでちょっとびっくり。こんな作品が今になって訳され出版されるということは、やはりドロシー・ギルマンに根強いファンがいるということだろうか。いや、私もその一人なのかもしれないけれど。

 でも、この作品。少女が力強く生きていくというそれだけではなく、最後にはちょっと悲惨なというか、なんともいえない結末が待っていて。解説に反戦小説とあったけれど、そうなのだろうか? 人間は肌の色が違ってもいい人も悪い人もいるという点では同じなのだろうけれど、少女は「インディアン=悪、魂のない人」と教えられ、幼い頃にインディアンに襲われた記憶とあいまって、自分がインディアンに助けられても、実際のところは心を開くことができていない。でも、本能の内側では、きっとこの子はすべてをわかってるんだろうなーと思わされる。

 人は一人で生きるというのはやっぱり辛いものだ。誰かと一緒に、色々な考えを知りつつ生きていかないとずっと同じことにこだわったりするのかも。全然関係ないけど、ふとそんなことを思ったりした。


 < 過去  INDEX  未来 >


サーチ:
キーワード:
Amazon.co.jpアソシエイト
ゆうまま [MAIL]