講談社文庫 1988
STORY: 私立の女子校に勤める数学教師であり、アーチェリー部の顧問である主人公は、命を狙われているとしか思えないような出来事に何度か遭遇して、犯人を探そうとしていた。そんな矢先、男性用更衣室の密室で同僚の生徒指導担当の数学教師が毒殺されるという事件が起こり・・・。
感想: この作品は東野圭吾の確かデビュー作ということだった。一時期東野圭吾にはまったことがあって、そのときに解説で読んだ。そして、この本は一度図書館で借りたのだが、読む暇がなくて返却してしまい、その後もなぜか縁がなかった。ということで、今回はリベンジのようなもの。
主人公の数学教師はマシンとあだ名されるちょっと気弱で生徒には無関心な先生。でも、力で押し付ける先生よりはこういうタイプは害がないと思われている節もなくはないのかも。ただやっぱり積極的に話したいと思うような先生ではないのは確か。彼の視点で描かれているので、文体も数学っぽいというか、結構重々しく理路整然としている。そういう文体に重いなー、だるいなーと思ってしまうのだが、数学教師という人種ならこういう感じかもと思ってしまう。
作品は88年だからもう今から10年以上前の作品だけれど、女子校の感じはこんな感じかなとは思う。ただし、今時の女子高生はどうなんだろう? ちょっとやっぱり違うかもしれない。私はリアルタイムの女子高生だったから自分の頃を思い出すとこんな感じだったと思うんだけどね。
なんか久しぶりに学校の雰囲気とかを思い出した。部活動とか、学校の行事とか。この話は先生の視点から描かれているので、生徒の時には感じなかったことがよくわかるというか、今、自分が大人であるから、もし自分が先生になるとしたら同じように思うかもしれないなーとは感じた。たとえば生徒なら同じ教室で先生が来るのを待っているわけだけれど、先生の場合はいろんな教室に授業に行くんだよね。なんかそういうのって生徒の時には感じなかったんだけど。
あ、あと結構伏線がわかりやすいというか。最後まで出てこないのかな?って思っていたら、最後に出てきたんで、そういうことだったか・・・と思った。色々と絡み合っていて殺人事件の謎解きだけで終わっていないのは結構プラスかもしれない。
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