11:00pm おばあちゃんからの電話。 昨日電話で冬休みにいくことを話したばかりなのに、一体どうしたのかな? 「今日、松本に行ったんだよ。 松本のおばあちゃんが死んだんだよ」 何の事を言っているのかわからなかった。 松本のおばあちゃん…。 私のおじいちゃんのお姉さん。 あの元気が良くって、たくさん話をしてくれて、私のことをとても可愛がってくれた、松本のおばあちゃん。 死んじゃった…。
まただ。 またこの後悔だ。 私のおろかさ。 またこの後悔を繰り返してしまった。 お父さんが死んでしまった時、二度と繰り返すまいと決めた、この後悔。 「なんでもっと会いに行かなかったんだろう。 なんでもっと話をしなかったんだろう。 なんでもっと優しくしてあげられなかったんだろう。」
夏を過ぎて、一度だけ、会いに行った。 もともとリウマチで足が不自由だったけど、それ以外はまったく元気そのものだったのに、最近ものが食べられなくなった。って言っていた。 唯一の楽しみの温泉通いも、行けないって言っていた。
ある静かな夜更け、救急車のサイレが遠くから近くへ這うように鳴り響くのを聞いた時、おばあちゃんに何かあったのかも、といういやな胸騒ぎがして眠れなかった。
私の中に予感はあったのに、毎日の自分のことに夢中になって、おばあちゃんのことを「そのうちに…」って後回しにしていた。 愚かな私。
死という何よりも絶対的な別れに直面するまで私は自分の愚かさに気づかない。
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