職員室のこの時期の最大の関心事は人事です。 どの先生がどの学校に異動になるか、それが一番知りたいこと。 なかには、気になるあまり、ほかの学校にまで、知り合いを頼って電話して情報を集めようと腐心するような先生もいるというからオドロキです。
そんなの、慌てなくても一週間もすれば公表されると言うのにねー。愚かなこと。
学校の中で異動人事の情報を握っているのは、校長先生。 だけど、そこに直接聞くわけにも行かないから、異動事務をしている私に矛先が向きます。 「○○先生って、今度出るの?」 「今度、きよこ先生の後に来る人って若い人?」 答えに窮してしまいます。 YES、NOで答えるということは、情報を教えているも同然なんですもの。
人事は校長先生から公表されるまでは誰も知らない、というのが大原則。 だけど、いつのまにかどこからか情報は漏れるもののようです。 当事者としては、やっぱりまだ年度の仕事の直中にいる時に、次の年度の噂をされるのはいい気持ちがしないものです。
私の異動に関しては、全然誰に知られようとも別に気になりませんでした。 赴任先当てクイズを催してたくらいですから。 でも、赴任先の校長先生に「学校関係者には言わないようにしてください」って口止めされたので、言わないでいました。 でも、ある日、 「きよこ先生、T中学校に決まったんですってね!」 って、突然ある先生に言われました。 ピンときました。
「きよこ先生、どこに決まったの?」 うーん。口止めされてるんですよー。まだ言うなって。 「そっかー。じゃあ、市町村なら教えてくれる?」 M市です。 「えー。M市のどのあたり?…じゃあ、T中か、K中かな」 ええええ。T中です。 という会話をした先生がいたのです。 つい数日前のことでした。 その先生から、職員室にうわさがまわっていたのです。 うわさって恐ろしいなって思いました。 そして、とても嫌な気分でした。 私の口から知らせるぶんには何でもないことであっても、人づてに知られていると思うと、すごく嫌な気分でした。 絶対に知られたくないことならなおさらに、すごく嫌な気がすることでしょう。
私は決めました。 絶対に人事に関することを私の口からは漏らすまい、と。 「○○先生って、今年出るの?」 さあー。私のほうにはまだ連絡がなくって知らないんですよー。
知らぬ存ぜぬの一点張りです。
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